隠れた魅力満載の穴場スポット
福井緑地は札幌市西区の福井地区にある都市緑地である。琴似発寒川の源流のひとつ、左股川に沿うように細長く伸びている。緑地の西側は住宅街、そして東側には、左股川をはさんで西区のシンボルにもなっている三角山がそびえ立つ。
発寒川緑地を遡ってゆき、終端にある山子橋を渡ると福井緑地にたどり着く。山子橋の先にある道路は飛ばしているクルマが多いので注意。
福井緑地を散策する
入口付近の様子
それでは早速、福井緑地を散策してみる。まずは入口付近の様子。涼し気な木陰がたくさんあって、夏の蒸し暑さが苦手な我々にはとてもありがたい。我々が往訪したのは9月中旬頃。札幌市ではようやく厳しい暑さが和らぎ、公園散策にはピッタリのシーズンになった。
白樺並木
白樺並木と芝生の美しいコントラスト。シラカバ花粉がNGな相方には春先の来園は厳しいそうだが、今の時期だったら問題ないそう。小径もしっかり舗装されているので、ベビーカーを押しながらの森林浴もOK。普段着で気負わず自然に触れられるのは都市緑地ならでは。
園内に縦横無尽に小径が走る開けた場所。左股川は琴似発寒川に流れ込む手前で大きく湾曲しており、このあたりは自然堤防だったのだろうか。
左股川の河川敷
福井緑地は左股川の河川敷に親水スペースがあり、川のすぐそばまで行くことができる。この日は東屋の下で若者グループがBBQを楽しんでいた。なお奥の三角山はヒグマの生息地であり、一昨年に入山者が襲われている。BBQ後は残飯などを放置しないようにしたい。
北海道にはマムシも生息している。マムシは水辺や湿地帯を好み、また茶褐色の体色は岩や木にまぎれて目立たないため、誤って触らないように注意。
ゲートボール場
正方形のグラウンドと東屋ということはゲートボール場だろうか?グラウンドが荒れ気味なので、あまり使われていない様子。北海道はどちらかといえばパークゴルフの人気が高い。ちなみにこの近隣だと発寒川緑地と五天山公園でパークゴルフをプレーできる。
白いムクゲの花があちこちに咲いていた。ムクゲは街路樹の周辺などにも植栽されており、夏から秋にかけてのシーズンが見頃。
遊具施設
遊具施設もひととおり揃っている。最近更新されたのだろうか、サビもなくきれいな状態。未就学児くらいだと、これだけの遊具があれば1日中遊べる。筆者も一人娘と近所の公園でよく遊んだものだ。ブランコ遊びに興じる親子連れを眺めつつ、しばしノスタルジーに浸る。
ウツギと思しき樹木が鮮やかな紅色の花を咲かせていた。ウツギは漢字で空木と書くが、これは成長に伴い枝の内部が空洞になるため。
福井緑地の中間地点
福井緑地の中間地点にやってきた。このあたりはインターロッキングと円形の花壇など、人工的な造作物によってきれいにまとまっている。右側手前はオンコの樹だろうか。近所の人達にとってはサンダル履きで、ぶらりと気分転換できる便利なスポット。
天高くまっすぐ伸びた樹木。Googleレンズで調べてみたが、何という樹木なのか特定できず。筆者は植物には疎いが、かなり多様性に富んだ植生と推察。
緑のトンネル
これは涼しそうな木陰。まさに天然の緑のトンネル。西野緑道も住宅街に隣接する自然豊かな散策路が魅力的だが、福井緑地もなかなか見どころが多い。桜や紅葉のシーズンにはどのような風景を見せてくれるのだろうか。ぜひ時期を改めて再訪してみたい。
際立つオレンジ色が特徴のコウリンタンポポは、戦後にサハリンから侵入した外来種である。非常に繁殖力が強く、在来種への影響が懸念される。
休憩スペース
札幌市内の多くの緑地や緑道の例にもれず、福井緑地にもいたるところに東屋やベンチなどの休憩スペースが設けられている。近年はめっきり暑くなった札幌の夏。お年寄りや小さなお子さん連れの方にとって、休憩スペースが充実しているのはポイント高し。
サッポロフキバッタらしき昆虫。フキを好んで食べることからこの名がついた。羽が退化して飛翔できないため、生息範囲が限定されている。
福井緑地の終点。ここから福井山ばと公園→福井ひまわり公園→左股川緑地を経て、五天山公園に出ることができる。機会があれば踏破したい。
左股川
引き返す前に左股川付近に降りてみる。流れに勢いのある清流。札幌市豊平川さけ科学館の2020年の調査によると、左股川にもサクラマスの遡上と産卵床が確認されている。住宅街に隣接した緑地の河川でサクラマスの産卵を観察できるなんて、まさに地域の宝。
右側の未舗装路が福井緑地の終端。そこから舗装路を伝って左股川の河川敷に降りることができる。
黄色が鮮やかなオオハンゴウソウは特定外来生物に指定されており、園外へ持ち出したり、自宅で栽培したりすると罰せられるので注意。
福井緑地のゆきかた
発寒河畔公園や西野緑道に比べてマイナーな印象のある福井緑地だったが、実際に散策してみると、自然と人工物の美しい調和、そして来園者に優しい設備、サクラマスの遡上など、隠れた魅力が盛り沢山の探訪スポットだった。今後はシーズンごとに何度か通い、福井緑地の魅力を発掘してゆきたい。
アクセス
アクセス
・地下鉄東西線琴似駅からJR北海道バス(西41)に乗車→福井2丁目停留所で下車し徒歩5分
・地下鉄琴似駅から発寒河畔公園→発寒川緑地→福井緑地へ徒歩で向かうと45分くらい。