都市と田園をつなぐテーマパーク
サッポロさとらんどは札幌市東区にある市内有数の園内面積を誇る公園で、その広さは57ヘクタール。なんと札幌ドーム10個分にも相当する。都市を田園をつなぐテーマパークをコンセプトに、都市公園と農業体験をコラボした札幌市内でも珍しいスポットだ。
サッポロさとらんどの正式名称は「札幌市農業体験交流施設 サッポロさとらんど」である。「さとらんど」は「さと(ふる里)」+「らんど(大地)」の造語で、一般公募の中から選ばれたそう。今回はそんなサッポロさとらんどの見どころスポットを一挙にご紹介したい。
園内散策その1~さとらんどガーデン周辺

とにかく広大な「サッポロさとらんど」。そこで今回は公式サイトから拝借した左のマップを示しながら、順を追って園内を案内していく。
レンタサイクル

予想以上に取材に時間を要してしまった百合が原公園の反省から、今回はレンタサイクルを利用して、サッポロさとらんどの端のエリアから攻略(?)してゆく。写真は園内の全体像をアタマに入れているF女史。ヘルメットもしっかり被って安全対策も万全だ。
レンタサイクルは正面ゲートそばの管理棟で借りられる。レンタル料はヘルメット付きで1時間100円。2人で漕ぐ4輪車は1時間300円。

さとらんどガーデン

まずはさとらんどガーデンから。ようやく来園できたサッポロさとらんどだが、我々が訪問した日はあいにくの曇り空。もっとも最近は札幌の夏もなかなかの猛暑。我々中高年コンビにはこれくらいの天候の方がありがたい…。



左から紅が鮮やかなほおずき、美しい紫色のダリアとツユムシ。華麗なピンク色のバラ。バラの背後にぼんやりと見えるのは、我々のスタート地点であるレンタルサイクルの管理棟。
ポタジェガーデン

さとらんどガーデンの北側に隣接するのがポタジェガーデン。ポタジェとはフランス語で「混合」という意味だそうな。つまり農作物の収穫のみを目的とした実用的な菜園ではなく、花卉も一緒に植えて観賞用としても愉しめる菜園のことをいう。



左からヒマワリ、ラベンダー、ヤナギハナガサ。ヒマワリを見て思わずゴッホの油彩を連想してしまったが西洋の品種だろうか?ラベンダーの後ろの男の子の像がいかにもフランス式家庭菜園といった雰囲気を醸し出している。



当然ながら野菜もしっかりと栽培されている。大きく育ったキャベツは緑色が濃くて間違いなく栄養満点。真ん中はひょうたんとスイカ。右は筆者もよく使うバジル。スライスしたトマトにチーズとバジルを添え、オリーブオイルと黒胡椒をふりかければ最高の白ワインのアテ。
園内散策その2~さとのかけ橋周辺

ポタジェガーデンからめぐみ橋を渡り、炊事広場に沿って「さとのかけ橋」へ向かう。
炊事広場

結構大きな炊事広場。いったいどれくらい収容できるのか定かではないが、やや肌寒い曇り空の下、大勢の家族連れや団体客がBBQを愉しんでいた。筆者は獣肉アレルギーなので牛豚羊はNGだが、それでもあちこちから漂ってくる香ばしい匂いに思わずお腹が鳴る。

先の写真がグリルでこちらは炊事場。きちんと清掃されていて、安心して(衛生的に)下ごしらえできそう。
BBQ小屋の奥には屋根なしの焼き場もある。さすがに札幌はBBQシーズンを過ぎたのか、週末にしてはガラガラ。

さとのかけ橋

さとのかけ橋はさとらんど通りの上を通行できる跨線橋である。写真右端のF女史と道路の幅員を比べると一目瞭然だが、片側一車線の対面道路くらいに広い。行きは上りでちとキツイが、帰りはレンタルサイクルの管理棟近くまで自転車を漕がずに下ってゆける。

さとのかけ橋の下。向こうは広大な駐車場になっている。なお下道からは、さとらんどガーデン側には戻れない。
さとのかけ橋の上をSLバスがやってきた。SLバスの乗車賃はおとな400円、こども200円。途中下車2回までOK。


こちらはさとのかけ橋のふもと(さとらんどガーデン側)にあるおもしろ自転車乗り場。利用料は30分500円。
園内散策その3~さとらんど交流館周辺

さとらんど交流館前にレンタルサイクルを駐輪し、徒歩でさとらんど交流館周辺を散策してみる。
さとらんど交流館

「さとらんど30」の花文字。サッポロさとらんどは1995年7月に開園したので、2025年の今年、記念すべき30周年を迎えた。2005年4月に全てのエリアが完成し現在の姿となった。なお翌年2006年からは従来の真駒内会場に代わってさっぽろ雪まつりの第2会場となる。

さとらんど交流館入口前の様子。札幌近郊で収穫された新鮮な野菜が並べられ、多くの来園者で賑わっていた。
さとらんど交流館の中はさとらんど市場。開館は4月下旬から11月初旬まで。営業時間は10時~15時。

さとの広場・木製アスレチック

さとらんど交流館の隣地は子供向けのプレイグラウンド「さとの広場」だ。写真は人気の5インチ鉄道。乗車料金はおとな・こども共に500円(乗車1回につき2周)。5インチ鉄道は原則として土日祝のみの運行となっている。

木製アスレチック広場。筆者が子供の頃は木製アスレチックといえば澄川の百景園(現天神山緑地)だったなぁ。
子供の学習農園。農作物を栽培するだけでなく、収穫して調理することで食べ物を大切にする気持ちを養う。


クボタのトラクター搭乗体験コーナーもあった。ちなみに十勝ではランボルギーニのトラクターが走っている。
園内散策その4~四季の杜・体験農園周辺

サッポロさとらんどの北端にやってきた。ここは体験農園と四季の杜がある。次回は体験農園も取材したい。
四季の杜

四季の杜にて。なんとも牧歌的な風景。人口200万人近い札幌市だが、少し足を伸ばせば緑豊かな景色を堪能できるのは素晴らしいと思う。もともとグリーンベルト構想の一環としてたくさんの都市公園が造成されたが、今や札幌市の公園数は全国の自治体で1位だそうな。

体験農園そばのヒマワリ。曇り空なのが残念だが、オレンジ色を見ていると不思議と元気が湧いてくる。
四季の杜の内側。野趣あふれる樹林と整然と手入れされた芝生の組み合わせが自然と人工が調和する札幌らしい。


再びSLバスと遭遇。よく見ると先ほどさとのかけ橋ですれ違ったものとは車体のカラーが違う。
体験農園の入口付近の様子。紅白のコントラストが美しい。撮りきれなかったが奥はラベンダーの紫。

体験農園

こちらがサッポロさとらんどのコンセプトのひとつである体験農園。我々が訪問した日はナスとピーマンの収穫体験の時期だった。筆者もかつてガーデニングでナスやピーマンを栽培したことがあるが、ナスに群がるアブラムシには本当に手を焼かされたものだ…。

後ほどご紹介する「さとらんどセンター」に、体験農園などの園内施設の営業案内が掲示されている。
これはさとのかけ橋付近で撮影した市民農園の様子。たくさんの人達が市民農園で農作業をしていた。

園内散策その5~丘珠縄文遺跡周辺

さとのかけ橋の向こう側は一通り見学できたので、レンタルサイクルを返却して徒歩で園内を回ることにする。
丘珠縄文遺跡

札幌周辺はかつて多くの縄文人が暮らしていた。自然の恵みが豊かだった札幌周辺では、社会科の教科書に載っているように縄文時代から弥生時代には移行せず、続縄文時代へと独自の歴史を辿ってゆく。発掘調査にあたるのは札幌市埋蔵文化財センター職員の皆さん。

丘珠縄文遺跡では発掘調査の様子を間近で見学可能。埋蔵文化財センターの担当者が出土物等を解説してくれる。
体験学習館

丘珠縄文遺跡のそばに丘珠縄文文化体験学習館がある。体験学習館では丘珠縄文遺跡に関連した展示や縄文文化を体験できるコーナーなどがある。また定期的におかだま縄文公開講座なども開催されているようだ。なお体験学習館は11月~4月は冬季休館となるので注意。

縄文土器のパズルに挑戦する筆者。メンタルのすり減る付き合いゴルフや飲み会よりもこっちの方が断然楽しい。
火起こし体験に挑戦するF女史。これは難しそう…と思っていたら手際よく着火していた。実は普段使いしてる!?

園内散策その6~サツラクミルクの郷

丘珠縄文文化を堪能した後は、ミルクの郷周辺を見学する。元スーパーの日配部門担当者としては興味津々。
牛の館

最初に向かったのは丘珠縄文遺跡から一番遠くにあった牛の館。あまりの静けさに閉まっているのかと思ったが、係員などは配置されておらず、自由に館内を見学できるシステムだった。入館料は無料。

館内は酪農と搾乳に関連した展示。ミルクの郷については別のブログ記事で詳しく紹介するので乞うご期待。
こちらはホンモノの牛さんたち。フリーストール牛舎といって、牛をケージに繋がずに放し飼いにするのが特徴。

ミルクの郷

紹介する順序が逆になってしまったが、こちらがミルクの郷の正面エントランス。明治26年に設立された札幌牛乳搾取業組合が、後にサツラク農協、雪印乳業、明治乳業となってゆく。それにしてもこのゲートは見覚えがある。日配主任時代に来たことがあるなぁ…。

牛の館の次はミルク館。サツラクの現役工場で、牛乳やヨーグルトなどが日々大量に製造・出荷されている。
ちなみにサツラク農協の前身、札幌酪農信用販売購買生産組合の設立に参画した篠路農協組合長のサイロが百合が原公園に残っている。

手作り工房まきば館

手作り工房まきば館。バター製造の工程を間近で見学できる施設。もっとも我々が訪問した日はバターの製造ラインは休止中で見学できず。中央の広場ではヤギや羊も飼育されている。

まきば館の売店コーナー。アップでの撮影は差し控えたが、サツラク製品が豊富に品揃えされていた。
ご近所野菜も販売されている。登録すれば自家栽培の野菜を販売できるらしい。あまりの安さに衝動買いする。

園内散策その7~ふれあい牧場周辺

我々のショートトリップもそろそろ終盤。ミルクの郷を出て、さとらんどセンター方面へ向かう。
ふれあい牧場

ふれあい牧場ではヒツジやヤギのほか馬やウサギも放牧されている。なおヒツジとヤギはえさやり体験もできる。日々来園者から餌をもらい慣れているせいか、ヒツジもヤギもとにかく人懐っこくて、人が来るとすぐに集まってくる。

ヤギのアップ写真を撮影中のF女史。パシャパシャと激写していたが、会心の作品は撮れただろうか…。
えさやり体験の餌はまきばの家で購入する。餌は一袋100円。えさやり体験の後は忘れずに手洗いしよう。

放牧場

サッポロさとらんどはSLバスのほかにも馬車を運行しており、馬車を運行していない時間帯は、馬たちは放牧場で餌を食べたり、身体を休めたりしている。放牧場はいくつかに仕切られており、訪問時には合計6頭の馬を見かけた。

こちらは引き馬体験の乗り場。係員が引く馬にまたがってコースを1周する。利用料はおとな550円、こども250円。乗馬時間は1回あたり5分。
馬車は10時30分~11時30分と13時30分~15時30分の時間帯に30分おきに運行。乗車賃はおとな450円、こども200円で、乗車時間は1回あたり15分。


さとらんどセンター手前のさとの池では、札幌市博物館活動センターと北海道総合博物館の共同調査により絶滅危惧種のヒンジモが発見された。
園内散策その8~さとらんどセンター

サッポロさとらんど探訪もフィナーレ。最後は園内最大の建物であるさとらんどセンターを見学して締めくくる。
さとらんどセンター

サッポロさとらんどの園内でひときわ目をひく「さとらんどセンター」。さとらんどセンターはサッポロさとらんどの管理事務所のほか、農産物や畜産物の加工室、料理実習室なども備えたまさに体験型テーマパークの中核施設となっている。

さとらんどセンターは2階建てで、正面ホールは巨大な吹き抜け構造。天井にも採光窓があり館内はとても明るい。
2階からテラス席に出ることができる。それにしてもこの広さ。手作り教室で作った料理をここで頂くのかな…。

おかだま縄文展示室

さとらんどセンター2階にも丘珠縄文の展示室があった。先ほど紹介したおかだま縄文体験学習館は展示コーナーが小さく、体験学習や記念講演をメインとした施設。出土品や関係資料の展示はこちらのおかだま縄文展示室が担っているのだと思われる。

おかだま縄文展示室も体験学習館同様に冬季間(11月~4月)は休館となる。なお見学は無料。
さとのスープカレー店

さとらんどセンターの2階にはあの札幌スープカリー御三家(と筆者が勝手に呼んでいるだけだが…)の札幌らっきょが運営している「さとのスープカレー店」がある。今回は時間の都合で残念ながら喫食できなかったが、次回はぜひ味わってみたい。

おそらくスープカリーは土日限定で提供しているようだ。それにしても結構リーズナブルな価格設定。
散策もいいけどやっぱり農業体験したい

札幌市農業体験交流施設サッポロさとらんどは、学びあり、アトラクションあり、癒やしありの見どころ満点のテーマパークだった。ただしサッポロさとらんどの真の魅力は、やはり野菜を作って、調理して、実食しないとわからない。機会があればぜひ再訪したい。
2025年はサッポロさとらんどの開園期間(4月26日~11月3日)を通して「ダイナソーアドベンチャーツアー大恐竜パーク」が開催中。


コンピューター制御の恐竜ロボットがまるでホンモノのようなリアルな動きを見せる。入場料は900円。札幌市民は200円OFFなのが嬉しい。
サッポロさとらんどのゆきかた

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