札幌の歴史が息づく場所:東区「大友公園」で過去と現在を巡る

札幌市東区の地下鉄環状通東駅からほど近い住宅街に位置する、大友公園をご存じでしょうか?
一見すると、どこにでもある街区公園に見えますが、実はこの場所には、札幌の開拓にまつわる歴史が深く刻まれているのです。
この記事では、大友公園が持つ魅力と、そこに隠された歴史を深掘りしてご紹介します。
大友公園を訪れる:歴史の面影を探して

大友公園は、広さ1,831㎡の街区公園として、地域の人々に親しまれています。
一般的な街区公園によく見られるコンビネーション遊具やブランコもありますが、園内でひときわ目を引くのは、遊水路とその先にある地図が描かれた円形の広場です。
実は、これらは単なる景観や子供たちの遊び場として配置されているのではなく、札幌の開拓史を語る上で外せない「大友堀」の推定流路を現代に再現したものなのです。
円形広場に敷き詰められた黒御影石の上には、現在の幹線道路や公共施設を背景に大友堀の推定流路が描かれており、傍らに設置された東区の歴史や大友堀の解説パネルとあわせて、当時の歴史の面影を辿ることができます。
札幌開拓の礎「大友堀」とは?
大友堀の規模と意義

大友公園に再現されている「大友堀」は、1866(慶応2)年、江戸幕府の命を受けた大友亀太郎がこの地に御手作場(開拓農場)を設けるにあたり掘削した水路のことです。
この水路は、御手作場の水田灌漑や湿地の改良を目的に造られたと考えられています。
その流路は現在の南3条東1丁目付近にあった豊平川の支流から水を引き、最後は現在の大友公園付近で伏古川と合流するまで、長さは約4kmに及びました。
一部は自然の旧河川なども利用したといわれていますが、未開の地でこの水路をわずか数ヶ月で完成させたというのですから、当時としては驚くべき大工事だったのではないでしょうか。
当初「新堀」や「新川」と呼ばれていたこの水路は、後に大友亀太郎の名にちなんで「大友堀」と呼ばれるようになります。
札幌の街づくりに果たした役割

(北海道大学付属図書館蔵)
明治時代になって札幌の街づくりが本格化すると、大友堀は重要な役割を果たすことになります。
- 街割りの基準線:札幌の街並みを東西に分ける基準線となる
- 創成川の一部:上流の南3条から北6条までの区間が現在の創成川の一部に
- 運河機能:下流部は拡張工事が行われ、物資の運搬にも利用される
やがて、開拓の進展とともにその役割を終えた大友堀は埋め立てられ、大正末期には伏古川との合流地点への水流も途絶えてしまいました。
しかしその後、昭和55(1980)年には発掘調査が行われ、その姿の一端が再び明らかになりました。
この調査によって得られた知見が、現在の公園の姿に大きく影響を与えているのです。
大友公園の誕生と、歴史を語る再整備
歴史ある場所に生まれた公園

大友公園が位置する場所は、かつて大友堀と伏古川の合流地点でした。
この付近は、大友亀太郎の役宅が建てられて以来、札幌村役場が設置されるなど(現在の札幌村郷土記念館)、長らく官公用地として利用されてきました。
そのため、大正末期に大友堀が涸れた後も、昭和30年代までは両河川の合流点は埋め立てられることなく保存されていたのです。
このような歴史的意義を持つ土地に、鉄東地区区画整理事業の一環として公園が誕生したのは昭和42(1967)年のことでした。
歴史を重視した平成の再整備

付近が大友亀太郎ゆかりの地であったことから「大友公園」と命名されたこの公園が、現在の姿へと大きく変貌を遂げたのは、平成6(1994)年のことです。
札幌市の「個性あふれる公園整備事業」の一つとして、昭和55(1980)年に実施された大友堀の発掘調査成果を活かし、公園の「歴史性」を重視した再整備が実現しました。
- 推定流路の再現:大友堀の推定流路とほぼ一致する形で遊水路を設置。その幅も開削当時と同じ約1.8mとしています。
- 合流点の落差を再現:大友堀と伏古川の合流地点にあった大きな落差を、遊水路が円形広場に注ぎ込む箇所で表現しています。
- 玉石護岸の使用:遊水路には豊平川から採取した玉石を使用。これは発掘調査で確認された護岸構造に基づいています。
来園者が往時の大友堀の姿を体感できるようなこれらの工夫により、大友公園は住宅街の一公園を超えて、郷土の歴史を語り継ぐ貴重な場となっているのです。
過去と現在が交差する場所、大友公園へ

大友公園は、どこにでもある街区公園のように見えますが、実は札幌の開拓史を肌で感じられる貴重な場所です。
明治30年代半ばにこの地で生まれた方の記録によれば、かつて大友堀と伏古川の合流点周辺は、雑木が茂る湿地帯で子どもたちの絶好の遊び場だったそうです。
周辺が農村から住宅街へと変貌した今も、子どもたちが集う公園として整備されているのは、まさに歴史の不思議な巡り合わせですね。
ぜひ、近隣の札幌村郷土記念館とあわせて訪れ、札幌の歴史の一端に触れてみてはいかがでしょうか。
アクセス
アクセス;地下鉄東豊線「環状通東駅」から徒歩7分
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参考文献
「東区今昔2 大友堀」(札幌市東区役所総務部総務課 編/1982年)
「新札幌市史 第1巻 通史1」(札幌市教育委員会 編/1989年)
「まちの歴史講座 ひがしく再発見1 東区の原風景」(札幌市東区市民部総務企画課 編/2002年)
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