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神社仏閣

金龍山大覚寺(札幌市東区)

札幌東区の隠れた名刹 金龍山大覚寺を歩く

金龍山大覚寺の山門

札幌市東区の住宅街に、ひっそりと、しかし凛とした存在感を放つお寺があることをご存知でしょうか。それが今回ご紹介する金龍山大覚寺です。

このお寺は、開拓初期から札幌中心部と石狩を結ぶ重要な陸路だった「元村街道」沿いに位置しています。

また、その山門は北海道最大級といわれ、「元村街道と大覚寺の山門」として、さっぽろ・ふるさと文化百選にも選ばれています。

この記事では、そんな大覚寺の歴史と見どころを詳しくお伝えします。

金龍山大覚寺のあゆみ

金龍山大覚寺の本堂
大正初期建立の大覚寺本堂

大覚寺は曹洞宗のお寺で、その創建は明治37(1904)年に遡ります。

当初は旧元村墓地付近(現在の元町まちづくりセンター周辺)に、曹洞宗の説教所として建立されました。

この頃、札幌とその周辺では人口が急増し、開拓の進展とともに仏教各宗派が本格的な布教活動を開始していました。

曹洞宗においても明治29(1896)年に「北海道布教規程」が制定され、明治34(1901)年頃から積極的な布教が始まります。

大覚寺の起源となった説教所の設立は、まさにこの流れの中で実現したものでした。

明治40(1907)年には正式に寺号を公称し、旧札幌村初の曹洞宗寺院となります。

金龍山大覚寺の開基大島金蔵翁頌徳碑
大覚寺境内に建つ「開基大島金蔵翁頌徳碑」

その後、札幌村会議員などを務めた大島金蔵氏より元村街道に面した現在地の土地寄進を受けて移転。

大正時代初期には現在も参拝者を迎える山門や本堂などが次々と完成しました。

主要幹線として開拓期に大きな役割を果たした元村街道と、道内最大級を誇る大覚寺の山門は、昭和63(1988)年に「さっぽろ・ふるさと文化百選」に選定されています。

大覚寺を訪ねて:歴史の足跡をたどる見どころ巡り

地下鉄東豊線の環状通東駅から、現在は道道花畔札幌線となっているかつての元村街道を西へ約1km歩くと、堂々たる大覚寺の姿が見えてきます。

地元では「ななめ通り」とも呼ばれる元村街道が作り出す三角形の敷地。

その奥に建つ鐘楼が、ここが寺院の境内であることを静かに告げています。

金龍山大覚寺の鐘楼
写真右側から奥に続くのが、かつての元村街道

元村街道は、もともと伏古川沿いの自然堤防を鹿が踏み固めてできた獣道だったものを、人間も行き来するようになり道路へと発展したのだといわれています。

現在は片側1車線と決して広くはない道ですが、開拓期には札幌中心部から石狩方面への唯一の幹線道路として、地域の発展に欠かせない役割を役割を担っていました。

神社由来の狛犬が出迎える正門

金龍山大覚寺の正門

境内東側の正門では、一体の石仏と一対の狛犬が、参拝者を優しく出迎えてくれます。

実はこの狛犬には興味深い来歴があります。

金龍山大覚寺の狛犬
金龍山大覚寺の狛犬

「ほっかいどうの狛犬」によれば、元々は瑞穂神社(札幌市東区)に鎮座していたものだというのです。

昭和58(1983)年、瑞穂神社に新しい狛犬が奉納されることになり、地元石材店を通じて大覚寺にお迎えされました。

珍しく寺院に狛犬が鎮座しているのは、そうした背景があったのですね。

元は神社に奉納された狛犬ですが、簡素ながらも重厚感のあるその姿は、不思議と寺院の厳かな佇まいと調和しているように感じられます。

北海道最大級の威容を誇る山門

金龍山大覚寺の山門

正門をくぐると、大覚寺最大の見どころである山門が正面に現れます。

北海道内最大級と称されるだけあって、その威容は圧倒的です。

両脇に立つ赤い仁王像も、札幌ではなかなか目にすることのない貴重なもので、一見の価値があります。

山門へ続く参道の両側にはイチョウの木が植えられています。

今回は秋のお彼岸頃の参拝で、残念ながらイチョウの葉はまだ色づいていませんでしたが、紅葉の季節に訪れれば、より一層素晴らしい光景を楽しめることでしょう。

朱色の鳥居が鮮やかな豊川稲荷

金龍山大覚寺の豊川稲荷

札幌市内の豊川稲荷といえば、すすきのの玉宝禅寺が有名ですが、大覚寺にも豊川稲荷が勧請されています。

朱色の鳥居と狛犬ならぬ狛狐が配された、コンパクトながら風格のあるお堂です。

曹洞宗寺院の境内に稲荷社があるのも、仏教と神道が融合した日本ならではの光景といえるでしょう。

羅漢像が鎮座する五百羅漢堂

金龍山大覚寺の五百羅漢堂

境内の北側には五百羅漢堂が建っています。

残念ながら今回は内部を拝観しませんでしたが、この六角形のお堂には、その名の通り五百羅漢像が安置されているそうです。

一体一体異なる表情を見せる羅漢像の数々、いつか機会があればぜひじっくりと見学してみたいものです。

街の歴史を見守る保存樹

金龍山大覚寺の保存樹(ヤチダモ)

大覚寺の境内には、札幌市保存樹に指定されたイチョウとヤチダモ計4本をはじめ、数多くの木々が豊かに茂り、訪れる人々の心を和ませてくれます。

特に元村街道に面してそびえるヤチダモの大木は、かつて街道を往来する人々の目印として親しまれていたそうです。

開拓時代から現在まで、この場所で街の移り変わりを静かに見守り続けているのですね。

金龍山大覚寺で札幌の歴史と静寂に触れる

金龍山大覚寺の境内

金龍山大覚寺は、札幌市内では珍しい本格的な寺院建築を持つお寺です。

道内最大級の山門をはじめ見どころも多く、緑豊かな境内は参拝者に心安らぐひとときを提供してくれます。

元村街道という歴史ある道沿いに位置し、開拓期からの札幌の歩みを物語る貴重な文化遺産として、これからも大切に守られていってほしいものです。

アクセス

アクセス;地下鉄東豊線「東区役所前駅」から徒歩10分、同「環状通東駅」から徒歩15分

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参考文献

「郷土誌 元町北(改訂版)」(札幌市立元町北小学校 編/1982年)
「さっぽろ文庫39 札幌の寺社」(札幌市教育委員会 編/1986年)
「まちの歴史講座 ひがしく再発見 1 東区の原風景」(札幌市東区市民部総務企画課 編2002年)
「ほっかいどうの狛犬」(丸浦正弘 著/2007年)平岸百拾年」(澤田誠一 編/1981年)


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  • この記事を書いた人

福島智美

札幌生まれの札幌育ちだが大学時代は京都で過ごす。文学博士前期課程修了、北海道博物館で学芸員実習の経験あり。修士論文の執筆経験を活かし、神社仏閣や郷土資料館の記事を担当。和装とフィギュアスケート観戦が趣味。

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