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公園・散策路

月寒公園(札幌市豊平区)

2024年6月25日

季節・年齢を問わず楽しめる、充実の月寒公園

月寒公園の入口

札幌市豊平区の緑豊かなオアシス、月寒公園。

市内に10か所ある総合公園のうちの一つで、市民の憩いの場として長年親しまれています。

広々とした芝生広場、四季折々の自然の美しさ、充実したスポーツ施設など、様々な楽しみ方ができるのが、この公園の大きな魅力です。

また、その成り立ちや園内に建つ石碑など、地域の歴史とのゆかりが深い点も、月寒公園の特徴となっています。

この記事では実際に月寒公園を訪れた際の様子を交えつつ、その魅力をお伝えします。

月寒公園とは?

月寒公園の坂下野球場とタイタンビカスの花

約22haの広さを持つ月寒公園は、昭和36(1961)年の開園以来、市民の憩いの場として親しまれてきました。

広々とした園内には、野球場やテニスコート、サッカー場などのスポーツ施設はもちろん、子供向けの遊具や貸しボートなど、あらゆる世代が楽しめる設備が充実しています。

また、園内には地域の歩みを物語る石碑が点在しており、歴史好きな方にもお勧めのスポットとなっています。

子ども向けに、水深の浅い水遊び場もある

さらに、ドッグランやマルシェ、自然観察やヨガなど、様々なジャンルのイベントも積極的に開催されており、訪れるたびに新しい発見があるのも月寒公園の魅力の一つです。

地下鉄東豊線の美園駅・月寒中央駅から徒歩圏内で、駐車場の駐車台数は計120台強と、アクセスも良好な公園です。

月寒公園の楽しみ方

スポーツを楽しむ

月寒公園のテニスコート
テニスコートは人工芝で2面

月寒公園の魅力の一つに、スポーツ施設が充実していることが挙げられます。

園内にある施設は、以下の通りです(いずれも有料)。

  • テニスコート
  • 野球場(高台野球場・坂下野球場)
  • パークゴルフ場

このうち、テニスコートと坂下野球場はナイター照明が完備されており、夜20時までスポーツを楽しむことができます。

また、テニスやパークゴルフのラケット・クラブやボールはレンタルでき、気軽に楽しめるのも嬉しいポイントです。

月寒公園の坂下野球場
坂下野球場
月寒公園のパークゴルフ場
パークゴルフ場

なお、いずれの施設も利用には予約が必要となります。詳細は、月寒公園公式ホームページでご確認ください。

自然に触れる

月寒公園の桜
桜の名所としても知られる月寒公園

月寒公園は豊かな自然に囲まれ、四季折々の表情を見せてくれます。

春には桜が咲き誇り、秋には紅葉が美しく、訪れる人々の目を楽しませます。

月寒公園のエゾリス

公園内を散策していると、愛らしいエゾリスに出会うことも。

また、ボート池では、市内でおなじみのマガモはもちろん、オシドリやキンクロハジロなどの水鳥の姿も観察できます。

月寒公園のボート池に浮かぶオシドリとキンクロハジロ

ある日のボート池。

モノトーンのキンクロハジロに囲まれ、オシドリのカラフルさが際立ちます。

池のほとりで等間隔に並び、羽を休めるマガモ。

時折、園路をテクテク歩く姿を目撃することもあります。

月寒公園の池のほとりで休むマガモ

散策を楽しむ

月寒公園の園路
園路は坂道も多く、一周するだけでいい運動に

緑豊かな月寒公園は、散策にも最適です。

園内は起伏に富んだ地形となっていますが、急な上り坂には傾斜が緩やかなバリアフリー園路も整備されており、体力に合わせた散策を楽しむことができます。

四季折々の風景を楽しみながら、心身ともにリフレッシュできることでしょう。

石碑巡りで歴史散策

月寒公園の阿部與之助表懿徳碑
歴史好きには嬉しいことに、石碑には詳細な説明が書かれた看板が設置されている

月寒公園には8基もの石碑が点在しており、明治・大正時代から昭和に至るまでの地域の歩みを静かに語りかけてくれます。

園内を散策しながら石碑を巡れば、月寒の歴史を肌で感じることができます。

今回は、そのうち3つの石碑をご紹介します。

吉田善太郎功労碑
月寒公園の吉田善太郎功労碑

明治4(1871)年に月寒に入植した、吉田善太郎。

用水路の整備に尽力するなど開拓に励む一方で、歩兵第25連隊の兵営地を提供、村会議員など多くの公職も勤めました。

地域の発展に寄与したその功績を称え、明治43(1910)年(大正2(1913)年説もあり)に、独特の形状が目を惹くこの石碑が建てられました。

開村五十年記念碑
月寒公園の開村五十年記念碑

大正9(1920)年、旧豊平町(現在の豊平区・南区・清田区の大部分)の開町五十年を記念して建てられた石碑です。

旧豊平町では、明治4(1871)年に月寒と平岸の両地区に集団入植があり、本格的な開拓が始まりました。

それから半世紀が経ったことで、豊平町役場の置かれていた月寒の地に建てられたのが、この石碑です。

永遠の像
月寒公園の永遠の像

札幌市と旧豊平町の合併を記念し、昭和37(1962)年に建てられました。

合併の話は古くからあったものの、昭和36(1961)年に合併が決定するまでの数年間は、賛成派と反対派で激しい議論が繰り広げられました。

旧豊平町を開拓した先人の偉業を称える意味を持ちながらも、一方で見る者に未来への希望を与えるような雰囲気も感じられるモニュメントです。

遊具で遊ぶ

月寒公園のロング滑り台
人気のロング滑り台、長いほうは全長40m

月寒公園は家族連れに嬉しい、遊具が充実した公園です。

遊具が設置されているのは、東側の「こどもひろば」と西側の「森のあそびば」の2か所。

月寒公園のこどもひろば

「こどもひろば」には、ブランコや鉄棒など近所の公園にあるような親しみやすい一般的な遊具が並び、小さな子どもたちが安心して遊べる空間となっています。

月寒公園の森のあそびば

一方、「森のあそびば」は、アスレチック遊具が充実しており、冒険心をくすぐります。
そばにある長短2つのロング滑り台とあわせて、子どもたちに大人気です。

なお、対象年齢がある遊具もあるので、遊ぶ前に確認するようにしましょう。

月寒公園の歴史

市民の憩いの場として親しまれている月寒公園ですが、現在の姿に至るまでには、様々な歴史と変遷がありました。

ここで少々、月寒公園の歩みを辿ってみましょう。

公園用地となるまで

明治44年頃の歩兵第25連隊
明治44年頃の歩兵第25連隊、国道36号線を挟んで月寒公園の東に駐屯地があった
(北海道大学付属図書館蔵)

月寒地区の開拓が本格的には始まったのは、明治4(1871)年のことです。
岩手県出身者約180人が入植し、現在の月寒公園周辺も含めて開墾が進められました。

明治29年(1896年)には旧陸軍第7師団が設置され、月寒は飛躍的に発展します。

第7師団はその後旭川に移転しますが、歩兵第25連隊は月寒に残留し、現在の月寒公園の地を訓練場として買い取りました。

数年後、この土地は軍から旧豊平町に寄付され、公園としての整備が始まりました。

住民による公園整備

月寒公園の忠魂碑
月寒神社にほど近い園内に建つ、大正4年建立の忠魂碑

明治末期から大正初期にかけて、現在も園内に残る「吉田善太郎功労碑」や「阿部與之助表懿徳碑」、「忠魂碑」などの石碑が建立されました。

当時は一部を除き草木が生い茂っており、公園からは程遠い姿でしたが、大正9年に隣接地に月寒神社が移転したことで、公園整備の機運が高まりました。

昭和初期には地元住民による笹刈りが行われ、四国八十八ヶ所や西国三十三番札所を模した観音像も設置されました(観音像は戦後に撤去)。

戦後の公園整備

月寒公園の丘
射撃場の的があったという、ロング滑り台のある月寒の丘

現在の月寒公園の東側(望月寒川の東)が戦前から公園用地とされてきたのに対し、公園の西側(望月寒川の西)は、陸軍(戦後は進駐軍)の射撃場として長らく使われていました。

しかし、進駐軍が去った昭和30年代には、東側エリアと合わせて、本格的な公園整備が始まります。

昭和36年(1961年)に豊平町と札幌市が合併すると整備は加速。ボート池や野球場、テニスコートなどが順次設置されました。

月寒公園のボート池
ボート池は、この地にあった水田を買い取り造成された

平成24年(2012年)から平成30年(2018年)にかけては、老朽化に伴う再整備が行われ、新たにパークライフセンターが設けられるなど、近年は市民の憩いの場としての魅力を更に増しています。

魅力あふれる月寒公園であなただけの楽しみ方を見つけよう

月寒公園のパークライフセンター

月寒公園は、緑溢れる自然に包まれた都市のオアシスで、日常の喧騒から離れて穏やかな時間を過ごすことができます。

スポーツ施設で汗を流すも良し、木々の間を散策して四季の変化を感じるも良し、歴史の石碑を巡りながら地域の過去を学ぶも良し。

また、近隣には月寒神社やつきさっぷ郷土資料館など、自然や歴史を感じられるスポットも充実しているので、合わせて訪ねるのもお勧めです。

あなたにとって最適な楽しみ方を見つけて、ぜひ月寒公園の豊かな自然と歴史を体験してみてはいかがでしょうか。

アクセス

アクセス;地下鉄東豊線「美園駅」から徒歩6分、同「月寒中央駅」から徒歩10分
※駐車場あり(無料)
公式HP;https://tsukisamu-park.jp/

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参考文献
「月寒公園とその周辺 公園・記念碑類・神社・小学校」(神埜努 著/2007年)
「写真で見る札幌の戦跡」(札幌郷土を掘る会 編/2010年)
「豊平区の歴史 増補改訂版」(札幌市豊平区 編/2024年)

  • この記事を書いた人

福島智美

札幌生まれ、札幌育ちの文学修士。学術からビジネス実務の道へ転身し、山口と共に起業する。学芸員資格者でもあり、北海道博物館での実習経験もある。本サイトでは史跡や寺社などを担当。趣味は和装とフィギュアスケート観戦。

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