札幌で唯一の道立都市公園
北海道には道立の都市公園が11か所ありますが、そのうち札幌市に所在するのは南区の真駒内公園だけです。
この記事では、札幌オリンピックの会場ともなった真駒内公園を紹介します。
真駒内公園はどんな公園?
真駒内公園は札幌市営地下鉄南北線の南の終着駅である真駒内駅から徒歩20分ほど、豊平川と真駒内川の合流地点に位置します。
約85ha(東京ドーム約18個分)、外側の園路を一周すると約5kmの広さを誇る園内には多くの動植物が生息し、四季を通じて豊かな自然を楽しめるスポットです。
また、敷地内には札幌オリンピックの会場となった2つの競技場があり、コンサートなどのイベントやスポーツを楽しもうと多くの人々が訪れます。
真駒内公園の特徴は?
そんな真駒内公園の特徴を、かつて近隣に住んでいた筆者が紹介します。
来園時の参考になるかも…?
特徴①・豊かな自然
真駒内公園の一番の魅力はなんと言っても、その豊かな自然環境でしょう。
植物(樹木や草花)
緑豊かな真駒内公園を形づくるのは、園内に立ち並ぶ1万本(自然林の樹木を含めると6万本)を超える木々です。
その種類も様々で、春は桜、秋は紅葉と来園者の目を楽しませてくれます。
また、春のカタクリや初夏の水芭蕉など、様々な花を見ることもできます。
カタクリの花の見頃は4月下旬から5月初旬ごろで、園内の南端の斜面に群生地があります。
観察路が設けられているので、薄紫の可憐な姿を気軽に楽しむことができます。
真駒内川
園内を流れる真駒内川には秋になるとサケやサクラマスが産卵のために遡上し、運が良ければ園内の橋の上からその姿を確認できることもあります。
公園の北端には入場無料の札幌市豊平川さけ科学館もあるので、散策の際に立ち寄ってみてもいいですね。
5月上旬頃、豊平川との合流点にほど近いさけ科学館付近の真駒内川には、親ガモに連れられた子ガモのかわいい姿がみられました。
鳥や動物たち
真駒内公園はバードウォッチングのスポットとして知られており、鳥たちを撮影しようと本格的な一眼レフカメラを構える人の姿も多く見かけます。
また、キタキツネやエゾリスなど札幌市内の公園では比較的おなじみの動物の他、最近ではエゾシカの目撃情報も。
こちらは園内の五輪小橋のたもとにある、躍動感あふれる彫刻の「えぞ鹿」。
札幌オリンピック冬季大会の開催を記念して作られたもので、作者は札幌ゆかりの彫刻家・佐藤忠良です。
ちなみに近年、公園周辺では毎年のように熊出没情報の報告があり、令和5(2023)年6月には一週間ほど公園が一部閉鎖になりました。
お出かけの際は念のため、熊出没状況のチェックを。
特徴②・札幌オリンピックゆかりの施設群
真駒内公園には、昭和47(1972)年の札幌オリンピックの会場となった2つの競技場の他、大会を偲ばせるものが数多く残されています。
真駒内公園屋外競技場(真駒内セキスイハイムスタジアム)
札幌オリンピックの開会式やスピードスケートの会場として作られた屋外競技場では、今でも聖火台を間近に見ることができます。
現在の屋外競技場はスポーツ大会や花火大会などの会場として使われる他に、夏期はテニスやフットサル、冬期はスケート、通年でトレーニング室などが一般開放されています。
真駒内公園屋内競技場(真駒内セキスイハイムアイスアリーナ)
屋内競技場は札幌オリンピックの際、フィギュアスケートやアイスホッケー、閉会式の会場となりました。
現在では屋外競技場よりも頻繁にスポーツ大会やコンサート・ライブが行われているので、訪れたことがある方も多いのではないでしょうか。
筆者もママさんバレーボールやフィギュアスケートの大会を見に行ったり、冬はスケートの短期教室に通ったりしたものです。
ちなみに、屋内競技場には食券購入式の食堂もあります。散策の休憩やお昼ご飯などにどうぞ。
五輪通と彫刻群
園内を東西に貫く道道82号は、これらのオリンピック会場へアクセスするために整備された道路で、通称を「五輪通」といいます。
この五輪通は豊平川と真駒内川を跨いでおり、それぞれに架けられた「五輪大橋」と「五輪小橋」のたもとには、札幌ゆかりの彫刻家4名による作品が置かれています。
園内には「花束」と同じ本郷新による作品がもう一つあり、それが屋外競技場近くの五輪通沿いにある「雪華の舞」です。
五輪大橋・小橋の彫刻群と同じくオリンピック開催を記念して作られたもので、高さ12mの台座が目を引きます。
特徴③・遊具には乏しいですが…
魅力たっぷりの真駒内公園ですが、滑り台やジャングルジムといった遊具には乏しいのが玉に瑕です。
もし家族連れで訪れるのなら、春は芝生の上でピクニック、夏は人工池(川)で水遊び、秋はドングリやクルミなど木の実拾い、冬は雪遊び、といった楽しみ方が中心になるでしょう。
冬の屋外競技場の周辺には、斜面を登ったと思しき足跡と何かで滑り降りたような跡がたくさん残っていました。
そり滑りを楽しんだ跡でしょうか?
真駒内公園の歴史
種畜場(牧場)のころ
明治9(1876)年、北海道開拓使は畜産技術導入の拠点として、原始林の広がっていた真駒内の地に種畜場(牧場)を開きました。
この頃の真駒内公園の周辺には、放牧地や牧草地があったようです。
種畜場の設立・運営の中心となった人物が、お雇い外国人のエドウィン・ダンです。
真駒内には種畜場の事務所だった建物を移築した「エドウィン・ダン記念館」や彼の銅像もあります。
米軍基地「キャンプ・クロフォード」のころ
昭和21(1946)年、第二次世界大戦の敗戦に伴い種畜場はアメリカ軍に接収され、米軍基地「キャンプ・クロフォード」が作られることになりました。
一説には、アメリカを思わせる牧場の広がる風景が、基地建設の地として真駒内が選ばれる理由の一つになったとも言われています。
基地内に兵舎・住宅や学校など様々な施設が作られる中、現在の真駒内公園一帯にはゴルフ場が設置されました。
公式ホームページによると「ほぼ平坦な地形」の真駒内公園。
確かに園内の起伏は比較的緩やかで、ゴルフ場のような印象があるかもしれません。
公園、そして札幌オリンピックの会場として
キャンプ・クロフォードの敷地は昭和30(1955)年前後に段階的に返還され、跡地の開発が始まります。
その一環として、基地のゴルフ場だった一帯は道立公園として整備されることになりました。
こうして全国で10か所指定された「明治百年記念森林公園」の一つとして、昭和42(1967)年から真駒内公園の建設が開始されます。
建設と並行して札幌オリンピックの会場としての整備も行われた真駒内公園は、昭和47(1972)年のオリンピック開催を経て、昭和50(1975)年に開園しました。
まとめ
豊かな自然の中に、札幌オリンピックの面影を残す真駒内公園は、四季折々に様々な姿を見せてくれます。
公園そのものをお目当てに訪れるのはもちろん、イベントで屋外競技場や屋外競技場へ来る機会があれば、園内を散策してみてくださいね。