札幌中心部に広がる緑のオアシス 観光客にも人気の円山公園
札幌中心部から西へ約3km、標高225mの円山の麓に広がる緑豊かな空間、それが円山公園です。
この公園は、札幌市内では大通公園や中島公園と並ぶ歴史ある公園で、市民に長年親しまれています。
約70haの園内には、陸上競技場や野球場などのスポーツ施設や、多くの動物たちと触れ合える円山動物園など、多彩な施設があります。
また、北海道神宮の境内や円山原始林に隣接する自然豊かな環境は、札幌市民だけでなく観光客にも人気があります。
今回は、歴史、自然、周辺施設など、様々な角度から円山公園の魅力をお伝えします。
円山公園の魅力
自然に親しむ
円山公園は、背後に天然記念物の円山原始林を抱える自然豊かな公園です。
かつて養樹園だったことから樹木の種類が豊富で、桜を始めとする 四季折々の花や紅葉を楽しめます。
また、多くの野鳥が訪れる、バードウォッチングに適した公園でもあります。
札幌では珍しい杉林
円山公園には、札幌周辺では珍しい杉林が広がっています。
北海道では道南の一部を除き自生していない杉が、なぜ円山公園で見られるのでしょうか?
実は、かつてこの地には北海道開拓使の養樹園があり、北海道に適した樹木を調べるため、様々な種類の木が試験的に植えられていました。
円山公園の杉は、この時代に植えられたもので、園内ではサワラなど、北海道に自生しない樹木が他にも見られます。
お花見の名所
円山の桜の歴史は古く、明治8(1875)年、開拓判官・島義勇を偲んで札幌神社(現在の北海道神宮)の参道に150本の桜が植えられたのが、その始まりと言われています。
すでに明治20年代には、近郊から大勢の花見客が訪れる札幌随一の桜の名所となっていました。
円山公園は現在もお花見スポットとして有名で、シーズンになるとエゾヤマザクラやソメイヨシノが咲き誇り、多くの人々を魅了しています。
歴史に触れる
北海道総鎮守・北海道神宮に隣接し、札幌近郊の公園では長い歴史を持つ円山公園。
園内には、北海道や札幌の歴史を物語る石碑や銅像が数多く見られます。
島判官紀功碑
「北海道開拓の父」と称される開拓使判官・島義勇の顕彰碑です。
島義勇は道都・札幌の位置を定め、南一条通と大友堀(現在の創成川)を軸とした街割りを構想するなど、札幌の街づくりの基礎を築きました。
高さ8m・幅2.2mの堂々とした姿は、島判官の功績の大きさを物語っています。
岩村通俊の像
公園北側の入り口近くには、開拓史判官を勤めた岩村通俊の銅像があります。
現在の像は、戦時中の金属類回収令で失われた初代像に代わり、北海道開拓100年を記念して建てられました。
銅像は、島義勇の構想に基づき札幌の街づくりを進めた岩村通俊の功績を今に伝えています。
スポーツを楽しむ
大規模な運動施設を設ける構想のもと、昭和初期に様々なスポーツ施設が整備された円山公園。
これらの施設は、現在も円山総合運動場として多くの人々に親しまれています。
円山球場
北海道のアマチュア野球の聖地として知られる公式野球場です。
甲子園出場をかけた高校野球南北海道大会の決勝戦が行われるなど、熱戦の舞台として長年愛されています。
観客席の収容人数は25,000人で、札幌ドーム建設前はプロ野球の試合も行われていました。
円山競技場
陸上競技の公式大会や市民・学校の競技大会、個人利用まで幅広く対応する、400mトラックの競技場です。
毎年1月初旬から2月上旬には屋外スケート場として開放され、スケート靴の貸し出しも行われます。
円山庭球場
円山競技場の北側に隣接する、計12面の全天候型ソフトテニスコートです。
夜間照明や観客席も完備され、快適にテニスを楽しむことができます。
円山公園とその周辺の見どころ
円山公園とその周辺には、歴史や自然を感じられる魅力的なスポットがたくさんあります。
北海道神宮
円山公園に隣接する北海道神宮は、明治4(1871)年に現在地に鎮座して以来、北海道の総鎮守として1世紀半に渡り北海道の発展を見守ってきた神社です。
境内は円山公園と並ぶ桜の名所として知られ、初詣には道内最多の参拝者が訪れるなど、今も多くの人々に親しまれています。
円山動物園
園内にある円山動物園は、昭和26(1951)年に開園した北海道最古の動物園です。
現在は約170種900点もの動物たちが飼育されており、子供から大人まで幅広い世代に愛されています。
冬期間も開園しており、雪の中で元気に過ごす動物たちの姿を見ることができます。
北海道ならではの冬の動物園を楽しんでみてはいかがでしょうか。
円山原始林(円山八十八ヵ所)
円山公園の背後に佇む円山は、天然記念物に指定された「円山原始林」が広がる自然豊かな山です。
登山道は、1時間ほどで頂上にたどり着ける手軽なハイキングコースとして、市民に親しまれています。
大正時代に整備されたこの登山道には、四国八十八ヵ所にちなんだ観音像が置かれ、「円山八十八ヵ所」と呼ばれています。
また、札幌市街地を一望できる頂上からの眺めも魅力の一つです。
円山公園の歴史
円山公園の開園
円山公園が開園したのは明治42(1909)年。
そのルーツは、明治13(1880)年に北海道開拓使が設けた樹木の試験育成を行う養樹園に遡ります。
天然の景観に恵まれたこの場所は、早い時期から公園の候補地となっていましたが、実際に整備が始まったのは、明治34(1901)年に養樹園が旭川に移転した後でした。
明治41(1908)年には、大通公園や中島公園の設計者である長岡安平が公園の設計を行い、翌年には円山公園が開園しました。
戦前の円山公園
円山公園は開園以後も段階的に整備が進められ、大正時代には市民の憩いの場として大きく発展しました。
円山の登山道整備や公園への電車開通により、多くの人々が訪れる行楽地としての地位を確立しました。
豊かな自然環境が評価され、円山原始林が天然記念物に指定されたのもこの頃です。
さらに、昭和9(1934)年から翌年にかけて、札幌総合運動場として陸上競技場・野球場・テニスコートが整備されました。
市内初の本格的な競技施設となった運動場は、運動会や競技会の舞台となり、円山公園はスポーツの拠点としても親しまれるようになりました。
戦後の円山公園
戦後の円山公園にとって最大の出来事は、なんといっても昭和26(1951)年の円山動物園の開園でしょう。
動物たちとの触れ合いは子供たちの心を掴み、円山公園は家族で楽しめる場所となりました。
その後、昭和40~50年代にかけては、円山総合運動場の各施設も改築・整備され、現在に至っています。
今では子供向けの遊具や遊水路も設置され、世代を超えて楽しめる公園として親しまれています。
古くから市民に親しまれてきた円山公園
明治時代から市民に親しまれてきた円山公園は、歴史と豊かな自然が調和する、観光客にも人気のスポットです。
春は桜、秋は紅葉と、四季折々の美しい景色を楽しめるほか、陸上競技場や野球場など充実した施設も揃い、スポーツの拠点としても賑わっています。
さらに、園内や周辺には動物園や神社、遊具広場など、子供から大人まで楽しめる施設が満載。
札幌中心部からのアクセスも良好で、気軽に足を運ぶことができます。
札幌にお越しの際は、ぜひ円山公園で心身ともにリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。