公園・散策路

農試公園(札幌市西区)

2023年12月2日

農業試験場転じて公園となる

農試公園の標識
琴似側にある農試公園の標識。公園施設を模したアイコンがユニーク。

農試公園は農林省北海道農業試験場(現在の農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センター)の跡地につくられた公園である。園内には野球場やテニスコートなどのスポーツ施設や、遊戯広場、ちゃぷちゃぷ池、交通コーナーといった子供向けの遊戯施設がある。

農業試験場は馬鈴薯や小麦をはじめとする農産物の品種改良、農業技術の普及などを行い北海道の農業発展に大きく貢献した。その後、農業試験場は1980年(昭和55年)に北海道大学農学部キャンパス内に移転し、その跡地は1983年(昭和58年)に農試公園として生まれ変わった。

農試公園付近のJR函館本線

撮り鉄スポット

琴似側入口のそばにはJR函館本線が走っていて陸橋下からの迫力あるアングルで特急を撮影することができる。

行幸記念碑

琴似側入口の石碑は1936年(昭和11年)10月8日に昭和天皇が農業試験場の視察に行幸された記念に建立された。

農試公園の行幸記念碑

春のみどころ

満開の桜

農試公園の桜
農試公園はBBQ禁止なので桜のコンディションがとても良好。

農試公園は札幌市内有数の桜の名所としても知られており、4月下旬頃になると園内にはソメイヨシノやエゾヤマザクラなどが咲き乱れて来園者の目を楽しませてくれる。5月中旬をめがけて桜吹雪の舞う中を散策するのも風雅な趣があってよし。

農試公園の春の交通コーナー

春の交通コーナー

春の陽光を浴びながら桜並木を親子でのんびりサイクリング。お父さんにも心休まる休日のひととき。

D51形11号機

農試公園のD51蒸気機関車
デゴイチの運転手に憧れた昭和生まれも多いはず。

園内にはかつてデゴイチの愛称で親しまれた蒸気機関車が展示されている。この機関車の正式名称はD51形蒸気機関車11号機といい1938年(昭和13年)に日本国有鉄道により製造され、1972年(昭和48年)まで現役で活躍した。

農試公園のD51蒸気機関車(後ろ側)

デゴイチの後ろ姿

全長およそ20メートル、総重量125トンの巨体は最大出力1,400馬力を誇る。建造当時は最新鋭の機関車だった。

夏のみどころ

深緑のツインキャップ

農試公園のツインキャップ(夏)
正確には蔦に覆われているのはサンルーム側。農試公園のランドマークとなっている。

札幌市内にはおよそ2,200ヶ所の都市公園がありこれは全国の政令指定都市のなかでも最多の数となるが、その多くは冬になると雪に埋没してしまい利用できなくなることが難点だった。

そこで農試公園では一年を通じてスポーツやイベントに利用できる多目的アリーナと冬季間でも日光浴ができるサンルームを組み合わせたツインキャップという施設を設置している。

農試公園のツインキャップの内部

サンルームの明るくて開放的な吹き抜け。長く厳しい札幌の冬でも暖かい太陽光を浴びることができる。この日も近隣のお年寄りがベンチに腰掛け静かに読書を愉しんでいた。

休館日;毎月第4月曜日
開館時間;午前9時~12時、午後13時~17時、夜間18時~21時
電話番号;011-615-3680(農試公園管理事務所)
ホームページ;農試公園屋内アリーナ利用方法

遊具施設

農試公園のちゃぷちゃぷ池

ちゃぷちゃぷ池

幼児向けの水遊び場のコンセプトは大きなベビープール。くじらの親子が豪快な噴水でお出迎え。

交通コーナー

交通コーナーでは園内をゆっくりとサイクリングしながら安全に交通ルールを学ぶことができる。

農試公園の交通コーナー
農試公園の野球グラウンド

野球場

ナイター完備の立派な野球場。サッカーグラウンドやテニスコートもあって運動施設が充実している。

秋のみどころ

サケ観察会

琴似発寒川のサケ観察会
鮮やかな婚姻色に染まったサケ。一般人によるサケの捕獲は禁止されている。

農試公園のそばを流れる琴似発寒川では毎年秋になるとサケが産卵のために遡上してくる。そして産卵シーズンになると豊平川さけ科学館主催のサケ観察会が開催される。参加は無料で申し込みも不要。開催時間中に農試公園橋にゆけば職員の方々が丁寧に案内してくれる。

琴似発寒川のサケ観察会2

産卵後のメスはその場にとどまって自らの命が尽きるまで卵を守り続けるそう。当日も多数の親子連れが参加して興味深く職員の話に聞き入っていた。

近隣の橋の上からもサケを観察できる。サケは産卵後30日で発眼し3月には川底から這い出てきて新川→石狩湾→ベーリング海へと降海してゆく。

琴似発寒川を遡上するサケ
琴似発寒川

きれいな伏流水の湧く川はサケの産卵スポットだが実は清酒醸造にも最適。そのため琴似発寒川には札幌酒造、豊平川には日本清酒の工場がある。

紅葉狩り

農試公園の秋のツインキャップ
秋のツインキャップ。赤く染まった蔦と澄んだ秋空のコントラストが美しい。

秋は農試公園の紅葉が美しい季節。園内にはケヤキやカエデ、イチョウなどさまざまな種類の樹木が植えられており、10月下旬から11月いっぱいにかけて色とりどりの紅葉を楽しむことができる。紅葉狩りを堪能した後はサンルームで一休み。

農試公園の秋

秋色の深まりつつある農試公園を散策。秋の札幌市は暑くもなく寒くもなく、湿度も低くて快適に過ごせる。

個人的には厳しい冬が到来する直前の美しくもはかなく短いこの季節が一年の中で最も好きである。

晩秋の遊戯広場

あと1ヶ月もすれば遊戯広場も閉鎖される。我々が来園した日は今年最後の遊び納めといわんばかりに沢山の家族連れで賑わっていた。

農試公園の遊戯広場

冬のみどころ

歩くスキーコース

農試公園の冬
ツインキャップの裏側に造成されたソリ滑り用のスロープ

札幌市内の多くの都市公園は冬になると静寂なモノトーンの世界に包まれてしまうが、農試公園は一年を通じて子供たちの歓声が絶えない。一番人気はなんといってもツインキャップ裏側のソリ滑り。あくまでも幼児~小学校低学年向けなのでスノボの練習などはNG。

農試公園の歩くスキー案内板

農試公園では毎年1月上旬から3月上旬まで歩くスキーコースが開設される。一周2.4kmのコースは冬季間の運動不足解消に最適。貸しスキーも完備。

サンルームで日光浴

農試公園のツインキャップ(冬)
1月頃のサンルーム。真冬にも関わらず緑がいっぱい。

雪の降らない地方に住んでいる人にとって幻想的でロマンチックな札幌の雪景色も、地元民には毎朝の除雪や吹雪による公共交通機関の遅延など正直いって憂鬱でしかない。そんな時は太陽光の降り注ぐサンルームで緑を眺めつつ春の到来を待ちわびる。

農試公園のツインキャップ外観(冬)

冬のサンルームはスッキリシンプル。外は厳寒でも室内は暖かな陽の光と鮮やかな彩りの草花で満ち溢れていて冬の凍てついた心を癒やしてくれる。

農試公園のゆきかた

琴似発寒川から琴似地区を望む
農試公園のそばを流れる琴似発寒川。線路を超えると発寒河畔公園がある。

農試公園は農業王国北海道の礎を築いた農業試験場の跡地に造られ、四季を通じて地域住民の交流や憩いの場として親しまれている通年型の都市公園である。現在は施設老朽化にともなう改修工事中だが、リノベーションを終えた農試公園の魅力はさらに増しているに違いない。

アクセス

電話番号;011-615-3680(農試公園管理事務所)
アクセス;JR琴似駅から徒歩15分、市営バス八軒6条西5丁目停留所から徒歩1分
ホームページ;公共交通機関のご案内

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参考文献
・札幌市環境局 農試公園屋内広場ツインキャップ リーフレット
・さっぽろたうん情報 1998年9月号
・O.tone 2023年 vol.176
・さっぽろ文庫64 公園と緑地

  • この記事を書いた人

山口光博

札幌育ちの人事コンサルタント。学生バイト時代を含めると、コンビニ、食品スーパー、GMS、物流センター、産廃処理など、流通チャネルの多様な職場を経験し、小売業に詳しい。好きなものはカレーとウイスキーと映画鑑賞。

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