前田森林公園の前身は前田農場
札幌ぶら歩き探訪、祝!手稲区初取材

札幌ぶら歩き探訪初の手稲区取材を敢行した。2022年10月のブログ開設以来、前田森林公園の桜を見てみたいと思っていたが、念願叶って2026年春にようやくの初訪問と相成った次第である。なお当サイトの人気記事「新川さくら並木」はこの橋の左側から始まる。
手稲前田の開祖は加賀百万石の前田家

前田森林公園は手稲区の手稲前田地区にあり、手稲前田という地名は、加賀百万石の前田家の末裔が、明治維新後の廃藩置県で失業した下級士族たちの雇用創出のため、この地に前田農場を開設したことに由来する。前田公園には今でも当時のサイロが残っている。
前田森林公園のモデルは仏のソー公園

前田森林公園は前田農場の一部を公園に転用して造成され、1980年代に札幌グリーンベルト構想の一環として着工。10年の歳月を経て1992年に開園した。同園はフランスのソー公園を手本としたフラットでシンメトリー(左右対象)かつ直線的な造形が特徴である。
園内探訪(その1)カナールと桜並木編
芽生えの塔から探訪を開始

それでは早速、前田森林公園を探訪する。エントランスでは「芽生えの塔」というモニュメントが我々を出迎えてくれた。草木の芽が青空に向かってすくすくと成長してゆく様子を表したのだろうか…。なるほど森林公園にふさわしい作品だ。

付近の植え込みを囲うブロックはまるで古城の石垣のよう。加賀百万石の前田家へのオマージュか?ちなみに筆者はNHK大河ドラマ「利家とまつ」の大ファンだった。

こちらは白樺の林。公園の案内には特段の説明は見当たらなかったが、晴れ渡った青空と白樺の林を眺めていると、かつて十勝で暮らしていた頃の風景を思い出す。
カナールは公園のシンボル

前田森林公園といえば全長600m、全幅15mにもおよぶ巨大なカナール(運河)とその両脇にそびえたつおよそ240本のポプラ並木を思い浮かべる人は少くないだろう。なお前田森林公園では初夏の通水へ向けてカナール清掃ボランティアを募集中とのこと。ぜひ!

カナール両側に植栽されたポプラ。ポプラは札幌を代表する樹木ながられっきとした外来種で、札幌農学校2代目校長の子息がアメリカから苗木を持ち込んだのがはじまり。
札幌のポプラは北海道大学のポプラ並木が有名だが、背の高い直線的なシルエットはフランス式庭園の前田森林公園にも似合う。相方と比較するとポプラの長身さがわかる。
桜の見頃は4月下旬~5月

お待ちかねの桜の散策路を行く。我々が来園したのは2026年4月25日だが、花びらが散り始めた桜の樹も散見され、少なくともソメイヨシノやエゾヤマザクラの開花ピークを若干過ぎてしまった印象は否めない。とはいえ前田森林公園の桜は噂に違わずお見事。
🌸エゾヤマザクラ


前田森林公園には5種類の桜が植栽されており、4月下旬はここに紹介する3種類が見頃を迎える。まずは札幌市内でお馴染みのエゾヤマザクラ。耐寒性が強く北国の風土に適した品種。鮮やかでハッキリとした濃いピンク色と、花びら付近の赤い葉が特徴。
🌸ソメイヨシノ


ソメイヨシノは日本全国で見られるオーソドックスな品種。咲き始めはピンク色が強いが、満開に近づくにつれて淡い白色に変化してゆく。エゾヤマザクラよりも樹高が高め。新川さくら並木やミニ大通ではエゾヤマザクラと交互に植栽され、天然の紅白幕が出現する。
🌸チシマザクラ


チシマザクラはエゾヤマザクラやソメイヨシノに比べて樹高がかなり低く、花弁も小粒で控えめな可愛らしい桜である。札幌市内ではあまりメジャーな桜とはいえないが、西区の西野緑道やこの後に訪問予定の軽川桜づつみなどでもチシマザクラを鑑賞できる。
園内探訪(その2)サンクガーデンと展望ラウンジ
市内随一!? 大パーゴラは圧巻だ

桜の散策路を抜けサンクガーデンに出ると長いパーゴラが視界に入る。パーゴラを設置している公園は全国各所に存在するが、これだけ長大なパーゴラを有する都市公園は他にあるだろうか?展望ラウンジの両端からサンクガーデンをまるで要塞の城壁のように囲む。

パーゴラに絡まる蔓は藤。同園では毎年6月に藤まつりが開催されるのでぜひ再訪したい。藤色で縁取られたサンクガーデンは一層その美しさを増すに違いない。
展望ラウンジからの眺めは最高

展望ラウンジのテラスからサンクガーデンを眺める。残雪の手稲山系に向かって真っ直ぐに伸びたカナールと両側のポプラ並木、そして幾何学模様に間仕切られた園路と芝生のコントラストが絶景。この庭園様式はフランスのソー公園やヴェルサイユ宮殿のオマージュ。

展望台ラウンジの全景。こちらもしっかりシンメトリー(左右対象)建築。アーチ状の土台の下はガランとした回廊となっており、2階が休憩所、3階が軽食レストラン。

3階の軽食レストランからの眺め。レストランのメニューはそば・うどんが450円、チャーハン700円、揚げたこ焼き500円、いももち350円也。缶ビールも売っている。
サンクガーデンから花木園へ

公園案内には「サンクガーデン」となっているが、恐らく「サンクン(Sunken)ガーデン」の誤植ではないかと思われる。サンクンはフランス語で「一段低い」という意味で、画像のとおり周囲よりも一段低く造成されている。平面・幾何学かつ直線的な造形が最大の特徴。

展望ラウンジ前の噴水。よく見ると噴水周囲は鮮やかな花で囲まれている。直線的で大胆なレイアウトと細やかで繊細な造作という2面性も前田森林公園の魅力だろう。

訪問時の花木園の様子。札幌の4月は残雪が無くなり、ようやく草木が芽吹く頃…といった状況で、花木園の見頃にはまだ早い。桜と藤が終わるとようやく初夏が訪れる。
園内探訪(その3)セカリー広場と芝生広場
セカリー広場と彫刻「幻想の鳥」

セカリー広場には、フランスの彫刻家ピエール・セカリー(1923~2001年)の「幻想の鳥」という作品が展示されている。この彫刻は日仏友好のシンボルとして1988年にフランスから日本に寄贈されたもの。ピエール・セカリー自身も大の親日家だったそうだ。

セカリー広場へ通じる小径。木材を埋設して造成した通路だが、腐食によって表面が凸凹しており、通行の際は足元にご注意を。来月にはこの辺りも新緑で覆われるだろう。
芝生広場はまるで桃源郷だった…

芝生広場はこれでもか~と桜が一面に広がる桃源郷のような光景。桜の密度でいえば北海道神宮の明治の森も賑やかだが、オープンかつフラットなスペースで、これだけの桜が一面に繁茂しているスポットは、札幌市内では希少だろう。相方共々本日の撮れ高に大興奮。

芝生広場もエゾヤマザクラ、ソメイヨシノ、チシマザクラがメイン。なお案内看板によると八重桜や御衣黄なども植栽されていて、5月中旬まで桜を楽しめる。
🌸芝生広場の桜たち



充実した球技場で区民の健康増進


前田森林公園には野球場2面、サッカーグラウンド1面のほかゲートゴルフ場やパークゴルフ場なども整備されている。我々が来園した日は週末ということもあり、2面の野球場とサッカーグラウンドではそれぞれ試合が行なわれていた。
🌸園内でみかけた草花




左からシデコブシ(別名ヒメコブシ)、エゾエンゴサク(別名スプリング・エフェメラル)、ヒメオドリコソウ、オオウバユリの芽…などと知った風なことを書いているが、筆者は草花に疎く解説はGoogleレンズの受け売り(ブログ執筆を通して少しづつ学んでいるが…)。
園内探訪(その4)ながめの丘とパークゴルフ場
管理事務所と異国風のカフェ

管理事務所に隣接して営業しているカフェの様子。ランタンやら海外の国道標識、自動車のナンバープレートなどでデコレーションされていて異国情緒満点の洒落た雰囲気。まるでアメリカ横断ツーリングの途中で田舎のドライブインに立ち寄ったような気分。

カフェの外観。若い頃に野宿しながらバイクで北海道一周ツーリングをしたことがあるが、当時は道内各地でこんな定食屋やライダーハウスを見かけたものだった。

前田森林公園の管理事務所もフラットで直線的な建築。長い直線軸で果てしなく続くような錯覚をもたらす手法を「パースペクティブ(無限の遠近法)」というらしい。
ながめの丘とひろびろ原っぱ

管理事務所付近から公道を横断して、ながめの丘とひろびろ原っぱへ移動する。公道で隔てられているものの、こちらも前田森林公園の一部である。しかしこれまで散策してきたエリアに比べて来園者がまばら。相方は心おきなくスマホのパノラマ撮影機能をテストする。

人が少ないとはいえ、こちらのエリアも美しい桜が充実していた。騒々しいのと群れるのが苦手な人(筆者)にとって、ひろびろ原っぱは穴場スポットかもしれない。

ひろびろ原っぱにはきちんとBBQ設備も完備されていた。BBQで桜の樹が痛み、養生のため一部立入禁止とする公園も少なくないので、火気は専用設備で使いたいもの。
美し過ぎる!パークゴルフ場

道内屈指の美しいコースではないか…と思われる前田森林公園のパークゴルフ場。サクラコース、シラカバコース、ナナカマドコースの3つが整備されており、コースの名称から想像するに春、夏、秋と、シーズンそれぞれに見頃が用意されているのだろう。

どこまでも続く青い空&緑の芝生に映えるソメイヨシノとエゾヤマザクラ。花見BBQもいいが、桜を鑑賞しながらパークゴルフ大会に興じるのも趣があってよいかも。

手前はきれいに整えられたレンギョウの生け垣。鮮やかな黄色も芝生に良く映える。右奥に見えるのはパークゴルフ場のゲストハウス。山小屋風が手稲山に似合う。
前田森林公園のゆきかた
通年楽しめる都市公園

東京ドームおよそ13個分に匹敵する広大な敷地を有する前田森林公園は、春は桜、初夏は藤棚、盛夏は親水、秋は紅葉、冬は歩くスキーと、一年を通して来園者を愉しませてくれる。いずれ他の季節にも来訪して、本記事に加筆する予定なので乞うご期待。
開園時期とアクセス
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