山鼻川緑地の概要
4年越しの取材となった山鼻川緑地

筆者が山鼻川緑地を初めて訪れたのは2022年の秋頃。以前勤めていた会社を相方と一緒に退職して起業し、当ブログ「札幌ぶら歩き探訪」のネタ探しにスープカリーのアジャンタインドカリ店や上山鼻神社を取材した際に、偶然この緑地を目にしてぶらりと立ち寄ったのだ。
上の写真がその時に撮影したものだが、当時は都心にありがちなポケットパークの類だろうと誤解し、記事にもせず放置していた。しかし上山鼻神社へ何度か参拝するうちに、山鼻川緑地は意外に大きく、貴重な生物を観察できる魅力的なスポットであることに気づいた。
ふるさとの川モデル事業により整備

札幌市の案内看板によると、山鼻川緑地は上流から「原始林ゾーン」「散策ゾーン」「親水ゾーン」「ふれあいゾーン」の4つのエリアで構成されている。このうち「原始林ゾーン」を除く3エリア(総延長1.5km)が「ふるさとの川モデル事業」として国の認定を受けて整備された。
そこで本記事では「ふるさとの川モデル事業」の3エリアを、上流から下流(豊平川との合流地点)まで探訪してみる。ちなみに札幌市の公園検索システムによると、山鼻川緑地の敷地面積は20,590平米とのこと。これは山鼻川下流にある精進河畔公園のおよそ40%に相当する。
探訪その1~散策ゾーン編
エゾサンショウウオの生息地

それでは散策ゾーンから出発。小川ながら水流はそこそこの勢いがあり水に淀みがない。撮影したのは2026年7月頃。今年の札幌は例年になく涼しいが、川辺ではさらに涼感が増してとてもさわやかな気分だ。蒸し暑くない冷涼な夏は筆者のような北国育ちにはありがたい限り…。

ここはエゾサンショウウオの生息地。エゾサンショウウオは北海道固有種で体長は10~20cmほど。(札幌市円山動物園公式サイトより転載)
清冷な山鼻川の流れ。この水草はバイカモ(梅花藻)で、冷たく澄んだ川にしか生息できない。わかりづらいが白い梅のような花を咲かせている。

散策ゾーンはここから出発

散策ゾーンの出発点はこんな様子。藻岩山から流れ出たいくつかの源流がここでいったんプールされ、蛇行しながら一本の流れにまとまってゆく。大正期の山鼻川は暴れ川だったらしく、突発的な増水に備えて河岸壁を高く構築しているのだろう。

散策ゾーンで見かけたオシドリのつがい。色が派手な方がオスで、控えめな方がメス。札幌市内では円山公園や月寒公園でよく見かける。
こちらはオスのカモ。カモは本来渡り鳥だが、中島公園のカモは冬季も渡らず、そのまま札幌で越冬するものが少なくない。


Googleレンズによるとこれはフキバッタの一種だそうな。フキバッタは羽が退化して飛翔できない変わり者。ちなみに小さい方がオス。
水辺ではマムシに要注意!

エゾサンショウウオを観察できるように水辺に下りられるスペースが設けられている。ただしマムシが潜んでいる可能性があるため、草むらや岩の隙間には充分注意されたし。

マムシの実物はこんな外見。これは筆者が札幌市円山動物園の爬虫類館で撮影してきたもの。凶悪な面構えだが実際には臆病なのだとか…。
八重桜の隠れ鑑賞スポット

散策ゾーンの終点付近にて。実はこの一帯は知る人ぞ知る八重桜の鑑賞スポット。この先の親水ゾーンは開花の早いソメイヨシノとエゾヤマザクラが有名だが、5月中旬~下旬にかけてはこちらで引き続き八重桜を愛でることができる。ちょっとお得な気分…。

足元に目をやると可愛らしい芝桜が…。厳密には芝桜は桜の仲間ではなく、北アメリカ原産のハナシノブ科(多年草)とのこと。
右手に東屋が見えてくるとそろそろ散策ゾーンはおしまい。本州以南は災害級の酷暑でまさに著中見舞いだが、今夏の札幌は本当に涼しい。

終点は北電㈱藻岩発電所

左手に藻岩発電所を望みながら散策ゾーンから親水ゾーンに移動する。藻岩発電所はほくでん(北海道電力株式会社)が所有する水力発電所で、2022年10月から発電設備のリプレース工事を行っている。2029年3月に発電量を増強して再稼働する予定。
探訪その2~親水ゾーン編
いつかオオムラサキを撮影したい

親水ゾーンからは河岸が広くなり、気軽に山鼻川に触れることができる。適度な間隔で沢飛び石が設置され、対岸との往来もスムーズ。騒々しい国道230号線(通称:石山通)沿いとはいえ、川のせせらぎがのどかな雰囲気を醸し出している。

親水ゾーンには我が国の国蝶であるオオムラサキが自然繁殖している。現時点で撮影に成功していないが、いずれご紹介したい(頑張ります)。
こちらはコオニヤンマ(サナエトンボ)。オニヤンマが木の枝に垂直にぶら下がるのに対し、コオニヤンマは地面に水平に着地する。


なんとアオダイショウ様のご登場。北海道に生息している種は緑色がより鮮やかなんだろう。この日は2匹のアオダイショウと遭遇。吉兆か?
この多肉植物はなんだろう?昨年訪問した百合が原公園のロックガーデンで見かけたものに酷似している。

上山鼻神社を参拝する

親水ゾーンの途中で上山鼻神社に立ち寄る。筆者が社労士試験の合格祈願のため参拝した際、柏手を打った途端に騒々しかったどんぐりの落下音がピタリと止み、シーンと静まり返ったという不思議な体験をした。ちなみにこの辺りはその地形から「軍艦岬」と呼ばれている。

上山鼻神社の側にある石碑は殉職者之碑で、北海道電力株式会社の殉職者を慰霊するために、昭和35年に同社が建立したもの。
寄り道して山鼻屯田兵の像を見学

上山鼻神社から都心へ向けて10分ほど歩くと、山鼻屯田兵の像が建っている。山鼻屯田兵は陸軍屯田兵第1大隊第2中隊といい、琴似屯田兵(第1中隊)に続き第2陣として北海道開拓と北方の防衛を兼ねて入植した。今日の札幌の発展と繁栄はこれら先人たちの努力の賜物→感謝!

親水ゾーンから、ふれあいゾーンへ向かう途中のフェンスにも、山鼻屯田兵の像を模したレリーフが設置されている。
ふれあいゾーンへ移動する

ここが親水ゾーンの終点。石山通(国道230号線)の下をくぐって「ふれあいゾーン」に向かう。ヘビは縁起が良いと言われるが、だからといって噛まれても良いという話にはならない。リアリストの筆者はマムシとの遭遇を警戒し、できるだけ通路の中央を歩くことにする。
探訪その3~ふれあいゾーン編
下流域でも清冷な水質は変わらず

福住・桑園通りの中南ふれあい橋から山鼻川の下流方向を撮影した。切り立った崖のような河岸壁の様子は散策ゾーンとあまり変わらないが、ふれあいゾーンに入ると水量がグッと増す。それにしても下流域でこの透明度には本当に驚かされる。もちろんドブ臭さなんて皆無。

藻岩犠牲者の碑は、昭和9年~11年頃、藻岩発電所工事に強制的に従事させられ、犠牲になった80名の作業員の慰霊のために建てられた。
山鼻川は地下でいったん分岐するのか、あるいは別の地下水脈が存在するのか、突如現れた新たな流れが山鼻川に合流している。


イエローとホワイトが鮮やかなノリウツギ(糊空木)。ピラミッドアジサイとも呼ばれるこの樹木は寒さに強く札幌市内でも良く見かける。
お馴染みアカツメクサの花。昭和生まれの方なら、この花びらを引っこ抜いて根本の甘い蜜を吸った経験があるのでは?(経験者談)

秋にはサケ・マスの遡上を観察できる

毎年秋になると山鼻川でもサケやサクラマスの遡上を観察できる。サケ・マスが遡上しやすいように魚道もしっかり整備されているが、上流側の親水ゾーンはサケ・マスには水深が浅すぎるため、ふれあいゾーンのどこかで産卵しているものと想像する。
合流地点で山鼻川緑地探訪はおしまい

ついに山鼻川と豊平川の合流地点に到達。真ん中の樹木を挟んで右側が豊平川、左側が山鼻川。水面のさざなみから両河川の流速の違いが一目瞭然なのは非常に興味深い。それにしてもこの一帯が無臭(水質が極めて良好)なのは驚かされる。まさに札幌の財産だ!

合流地点を反対側から眺めるとこんな感じ。岬(?)の奥が豊平川で手前が山鼻川。先端の丸っこい樹木が上の写真の中央部分にあったもの。
カラフルな紫陽花。紫陽花の花は土壌が酸性だと青色、アルカリ性だと赤色になるが、これは意図的に土壌に石灰を仕込んでるのかな。

近隣施設:豊平川ウォーターガーデン

山鼻川緑地の終点の先には豊平川ウォーターガーデンがあり、夏はたくさんの家族連れで賑わいを見せる。ちなみに奥に見えるのはミュンヘン大橋。札幌市とドイツのミュンヘン市は姉妹都市提携しており、市内随所にミュンヘンにちなんだ建築物がある。
山鼻川緑地のゆきかた

ブログ「札幌ぶら歩き探訪」を始めた頃の山鼻川緑地(親水ゾーン)と相方のF嬢。当時(2022年秋)は記事数も少なく、コンセプトも定まらず、全くの手探り状態だったが、あれから4年後の今ではアクセスも伸び、広告収益を稼ぎ出す人気サイトとなりまさに感無量…。
追記
4年の歳月を経て、ようやく山鼻川緑地の記事を投稿できたのだが、今振り返ってみると、一切の迷いなく筆者と行動を共にする道を選び、一回りも年下に関わらず、ひたすら筆者の可能性を信じて励まし続け、献身的に支え続けてくれる相方にはただただ感謝の言葉しかない。







