当サイトはアドセンス広告およびアフィリエイト広告を利用しています。

博物館・資料館・美術館

北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)仮設見学施設(札幌市中央区)

2023年11月12日

改修工事中の赤れんが庁舎を間近に見学

北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)の仮設見学施設の出入口

「赤れんが庁舎」の愛称で親しまれる北海道庁旧本庁舎は、北海道開拓の歴史を刻む明治時代の建造物です。

現在は改修工事のため休館中の赤れんが庁舎ですが、その姿を間近に見学できる仮設見学施設が令和5(2023)年5月から約1年間の予定で公開されています。

このブログ記事では、普段は見ることができない赤れんが庁舎の姿を期間限定で見学できる仮設見学施設の様子を、詳しくご紹介します。

赤れんが庁舎とは?

修復工事前の北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)
令和の修復工事前の赤れんが庁舎

赤れんが庁舎は、明治21(1888)年に北海道庁の本庁舎として建てられました。

大規模なレンガ造りの官庁舎の中でも比較的初期に建てられた貴重な建物であることから、国の重要文化財に指定されています。

北海道産の建材をふんだんに使用し、中央に八角塔を備えたその姿は、北海道のシンボルとして広く知られています。

赤れんが庁舎の歴史

竣工間もないころの北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)
竣工間もないころの赤れんが庁舎(北海道大学付属図書館蔵)

北海道庁の設置に伴い、明治21年(1888年)に建てられた赤れんが庁舎。

多額の建築費をかけて造られた庁舎は「基模宏壮、外観荘厳」と謳われ、当時としては非常に大規模な建物でした。

明治42年の火災直後の北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)
明治42年、赤れんが庁舎は外壁を残し焼失した(北海道大学付属図書館蔵)

明治42年(1909年)には火災によって内部と屋根を焼失する被害に遭いますが、残されたレンガ壁を補修するなどして2年後に復旧。

昭和43年(1968年)に現在の北海道庁庁舎が竣工するまでの約80年間、道政の中心であり続けました。

明治時代の火災から復旧した直後の北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)
火災から復旧した明治45年頃の赤れんが庁舎(北海道大学付属図書館蔵)

その後、開道百年記念事業の一環として八角塔を復活するなど創建当時の姿に復元された赤れんが庁舎は、昭和44年(1969年)に国の重要文化財に指定され、現在に至るまで北海道開拓のシンボルとして親しまれています。

赤れんが庁舎の仮設見学施設

北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)の仮設見学施設の外観

重要文化財に指定されて以来、北海道の歴史や観光情報を発信する施設として使用されてきた赤れんが庁舎ですが、大規模改修のため令和1(2019)年10月から令和7(2025)年3月までの予定で休館中です。

改修中の赤れんが庁舎の様子を間近で見ることができる施設として、令和5(2023)年5月から1年間の予定で設置されたのが、仮設見学施設です。

赤れんが庁舎のシンボルである八角塔や2階の屋根を近距離から観察できる貴重な機会を提供するほか、赤れんが庁舎の歴史や改修工事の概要を伝える展示も充実しており、歴史好きの方はもちろん、建築に興味のある方にもお勧めできる内容となっています。

修復中の赤れんが庁舎を間近に見る

仮設見学施設の一番の魅力は、修復中の赤れんが庁舎を間近で見学できるところでしょう。

八角塔

仮設見学施設から見る修復中の北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)の八角塔

赤れんが庁舎のシンボルである八角塔を上から見下ろすという今しかできない体験ができます。

八角塔は当初の設計にはなく、道庁上層部(定説では長官の岩村通俊)の発案で、急に加えられたといいます。

そのため構造的欠陥を抱えた八角塔は、強風で揺れたり雨漏りが悪化したことから、10年も立たないうちに撤去されました。

現在の八角塔は創建当時の古写真を参考に、昭和43年の復元工事の際に再建されたものです。

仮設見学施設では八角塔を間近に眺めながら、古写真からの再建過程や、今回の修復工事の詳細を知ることができます。

屋根

仮設見学施設で見る修復中の北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)の屋根

仮設見学施設の3階西面に広がるガラス窓からは、赤れんが庁舎の屋根部分の改修工事の様子を一望できます。

珍しい天然スレート葺きや、スレートが取り外された屋根を状態を間近で観察できるのは、仮設見学施設の公開中のみです。

仮設見学施設の展示内容

仮設見学施設は赤れんが庁舎に関する展示も充実。

「仮設」という言葉のイメージ以上に見ごたえのある内容となっています。

赤れんが庁舎の歴史を知る

北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)の仮設見学施設の様子

赤れんが庁舎の歴史を軸に、札幌の街づくりとその発展を紹介するコーナー。

パネル展示の上部はガラス窓となっており、美しい前庭と現在の札幌の街並みを眺めながら、札幌の歴史を学ぶことができます。

北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)の仮設見学施設から見る前庭

仮設見学施設から見下ろした、赤れんが庁舎の前庭。

元は試験林・見本林として整備されたという、約100種、1,000本の樹木が植えられています。

修復工事の概要を知る

北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)で行われるプレストレス補強の仕組みの模型
今回の修復工事で行われる補強工事の方法を模型で説明

今回の改修工事の目的や内容、手法についてのパネル展示です。

改修工事は、傷んだ箇所の修理・耐震性の向上・設備の更新やバリアフリー化を主な目的としているそうです。

地震に弱いイメージのあるレンガ造りの建物をいかにして耐震化するのか?など、特に建築好きな方には興味深い内容が多く含まれているのではないでしょうか。

赤れんが庁舎に使われている建材を知る

北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)の仮設見学施設の様子

レンガや漆喰、屋根のスレートなど、赤れんが庁舎に使われている建材について、実物を提示しながら説明するコーナーです。

北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)の仮設見学施設のレンガの積み方の展示

レンガの積み方には2種類あり、赤れんが庁舎ではフランス式と呼ばれる積み方が採用されています。

もう1つの積み方であるイギリス式は、サッポロビール園(札幌市東区)などで見ることができます。

赤れんが庁舎の仮設見学施設を訪れて

北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)の仮設見学施設の様子

赤れんが庁舎の仮設見学施設では、普段間近で見ることのできない八角屋根や正面の屋根をじっくりと観察することができます。

赤れんが庁舎の歩みや使われている建材、改修工事の詳細などの展示も充実しており、その魅力を存分に味わうことができました。

赤れんが庁舎の改修工事は2025年2月まで続く予定ですが、仮設見学施設の公開は2024年5月上旬までとなります。

歴史ある赤れんが庁舎の姿を間近で見られる貴重な機会ですので、ぜひこの機会にご見学ください。

アクセスと開館時間

アクセス;JR「札幌」駅、および札幌市営地下鉄「さっぽろ」駅から、徒歩10分
開館時間;8:45 ~ 18:00
休館日;年末年始
入館料;無料
公式HP;北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)改修事業 イベント・展示等(北海道庁)

PR]「札幌開拓の魂に触れる。秘められた物語があなたを待つ史跡巡り」

こちらもおすすめ

参考文献
「さっぽろ文庫23 札幌の建物」(札幌市教育委員会 編/1982年)
「新札幌市史 第3巻 通史3」(札幌市教育委員会 編/1994年)
広報さっぽろ中央区版「歴史の散歩道」
札幌の文化財(Web版)

  • この記事を書いた人

福島智美

札幌生まれ、札幌育ちの文学修士。学術からビジネス実務の道へ転身し、山口と共に起業する。学芸員資格者でもあり、北海道博物館での実習経験もある。本サイトでは史跡や寺社などを担当。趣味は和装とフィギュアスケート観戦。

-博物館・資料館・美術館
-, , ,