春の訪れを告げる道都の桜
北国の春を彩る札幌の桜。
例年4月下旬から5月上旬にかけて、市内各地で桜が咲き誇ります。
雪解けの訪れを告げる桜は、札幌市民にとって待ちに待った春の風物詩です。
この記事では、そんな札幌のお花見スポットを厳選してご紹介します。
本ブログに個別記事のあるスポットを中心にピックアップしていますので、アクセスや桜以外の見どころは各記事をぜひ参考にしてください。
札幌の桜、見頃はいつ?
札幌でお花見が楽しめるのは、年によって前後しますが、ちょうどGW(ゴールデンウィーク)にあたる4月末から5月初めの頃です。
桜の名所として知られる場所は連休中、大勢の人で賑わいます。
ただし、ここ数年は温暖化の影響か、開花が早まっているようです。
実際に気象庁のHPで調べると、2021年から2023年の3年間は、4月下旬に満開日を迎えていました。
例年より早い開花に備え、お出かけ前にお花見スポットの公式HPやSNSで開花状況をチェックすることをお勧めします。
札幌で見られる桜の種類は?
札幌で見られる主な桜の種類は、大きく分けて4種類あります。
エゾヤマザクラ
市内で最もよく見られる桜で、花と一緒に葉も開くのが特徴です。
北海道で単に「桜」というと、通常はこのエゾヤマザクラを指します。
ソメイヨシノ
本州以南ではよく見られる桜ですが、札幌市内で楽しめる場所はエゾヤマザクラに比べると少な目です。
しかし、桜の開花・満開を観測する気象庁の標本木として札幌ではソメイヨシノが採用されています。(北海道内では道南や道央、根室を除き、標本木にはエゾヤマザクラが採用されています。)
シダレザクラ
円山公園や中島公園など、比較的規模の大きな公園で見かけることができます。
ヤエザクラ
シダレザクラと同様に、中~大規模な公園などで楽しめます。
他の種類の桜よりも少し遅れて見頃を迎えることが多いので、エゾヤマザクラやソメイヨシノを見逃した場合のお花見におすすめです。
札幌のお花見スポット
北海道神宮&円山公園(中央区)
北海道総鎮守として知られる北海道神宮と、その隣に広がる円山公園は、札幌屈指のお花見スポットとして知られています。
その歴史は古く、明治8(1875)年、開拓使判官であった島義男を偲んで、札幌神社(現在の北海道神宮)の参道に150本の桜が植えられたことが始まりとされています。
明治中期には、当時の資料に「立錐の余地なし」と言われるほどの花見客で賑わっていたという記録も残されています。
現在も、エゾヤマザクラを中心にソメイヨシノ、ヤエザクラ、シダレザクラなど、様々な種類の桜が楽しめるスポットとして親しまれています。
北海道神宮と円山公園は、150年と変わらず札幌を代表する桜の名所として多くの人々に愛されています。
北海道のお花見といえばジンギスカン。
かつての円山公園でもジンギスカンを楽しむ姿が見られましたが、ここ数年は火気の使用が禁止されています(写真は2019年の円山公園)。
中島公園(中央区)
札幌の中心街からほど近い中島公園は、菖蒲池や豊平館、日本庭園といった見どころとあわせて桜を楽しめる、市民や観光客に人気の高いお花見スポットです。
エゾヤマザクラ・ソメイヨシノ・シダレザクラなど様々な種類の桜が見られるのも魅力。
アクセスの良さも相まって、多くの人々が訪れます。
本州以南とは異なり、北海道では梅と桜がほぼ同時に咲きます。
中島公園の日本庭園は、梅と桜を一度に鑑賞できるお得なスポットの一つです。
古くから札幌随一の景勝地として親しまれてきた中島公園。
明治中期の資料には「池辺には桜木を植える」とあり、北海道神宮ほどではないものの、当時から桜を楽しめる場所だったことが伺えます。
大通公園(中央区)
札幌のランドマークである大通公園でも、西5丁目~7丁目や西12丁目でお花見が楽しめます。
円山公園や中島公園と比べると本数は少ないものの、都心にあって春の訪れを感じられる貴重なスポットです。
精進河畔公園(豊平区)
豊平区平岸の精進川沿いに位置する精進河畔公園は、水景と共に桜が楽しめるのが魅力です。
公園北端の園路の左右には、エゾヤマザクラの他に40本強のヤエザクラが植樹され、川のせせらぎを聞きながらお花見散策を満喫できます。
公園の南端にある精進川の滝と桜。
落差2mほどの小さな滝ですが、すぐそばにエゾヤマザクラとベンチがあり、散策の休憩がてら春の風情を楽しむことができます。
寒地土木研究所(豊平区)
札幌市営地下鉄南北線・中の島駅から200mほどに位置する寒地土木研究所。
ここは、寒冷地における土木技術に関する国立研究所ですが、構内を流れる精進川沿いにチシマザクラが植えられており、知る人ぞ知る桜の名所となっています。
例年、開花時期に合わせて約1週間ほど構内が一般開放され、美しい桜並木を楽しむことができます。
開放期間は、寒地土木研究所のホームページにて数日前から告知されますので、桜の時期が近づいたら、こまめにチェックすることをおすすめします。
咲き始めのピンク色から、満開に近づくにつれて白色に変化するチシマザクラ。
道東の霧多布から取り寄せた苗木を植樹したことに始まる寒地土木研究所の桜並木は、約40年ほどの歴史があります。
農試公園(西区)
北海道農業試験場の跡地に作られた農試公園は、運動公園としての設備や子供向けの遊具も充実していますが、一方で桜の名所としても知られています。
エゾヤマザクラとソメイヨシノを楽しめ、園内の交通コーナーでは桜の花の元、交通ルールを学びながら自転車の練習をする子どもたちの姿も見られます。
琴似発寒川(発寒~西野)(西区)
琴似発寒川沿いには大小さまざまな公園や緑地が整備されており、河川敷の遊歩道を散策しながら四季折々の風情を楽しめます。
先ほどご紹介した農試公園もその中の一つですが、それより少し上流の発寒~西野地区も桜が美しく咲き、地元の人々が訪れるお花見スポットとなっています。
発寒河畔公園には、桜だけでなく300本ほどの梅も植えられており、梅にちなんだ和歌の標識も建てられています。
梅と桜が一度に咲く北海道の春を満喫できるスポットの一つです。
発寒川緑地には遊歩道と並んでサイクリングロードが整備されており、自転車に乗って春の風を感じながらお花見を楽しめます。
新川さくら並木(北区・手稲区)
北区と西区・手稲区の境界を流れる新川(琴似川・新川)は、明治時代に造られた直線状の人工河川です。
その河川敷には10.5kmに渡って桜が植えられており、札幌市内屈指の桜の名所として知られています。
中でも新川上の橋(北23条西14丁目)から新川橋(北24条西19丁目)までの右岸は圧巻。
約800mの区間にソメイヨシノやエゾヤマザクラが密集し、満開時には見事な景色を楽しめます。
また、新川橋の上流エリアでは夜桜見物のライトアップも行われます。
真駒内公園(南区)
札幌唯一の道立都市公園、1972年札幌オリンピックの会場ともなった真駒内公園。
広さ85ha(東京ドーム約18個分)の園内では、春になると約700本のエゾヤマザクラとヤエザクラが咲き誇り、地元の人たちがお花見に訪れます。
北国の春を彩る桜、札幌でのお花見を満喫しよう
本記事では、札幌のお花見スポットをいくつか紹介してきました。
札幌の桜は雪解けと共に咲き誇り、北国の春を彩ります。
今回ご紹介したスポット以外にも、札幌にはたくさんの桜の名所があります。
ぜひ、お気に入りの場所を見つけて、お花見を楽しんでください。
参考文献
「新札幌市史 第2巻 通史2」(札幌市教育委員会 編/1991年)