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公園・散策路

定山渓温泉(札幌市南区)

2024年11月14日

札幌の西南端にある風光明媚な国立公園

札幌市の奥庭 定山渓温泉

定山渓温泉の風景
日本人なら心にグッと刺さりそうな旅情あふれる秋の温泉街

定山渓温泉は札幌市南区にある国立公園である。札幌市内の公園といっても、都心から路線バスに乗って1時間ほどかかる距離に位置しており、多くの札幌市民にとって、手軽に湯治観光気分を味わうことのできる、奥庭的なスポットとして知られている。

国立公園定山渓温泉のモニュメント

定山渓温泉街のエントランスにあるモニュメントが我々を迎えてくれた。定山渓は、広大なエリアを誇る支笏洞爺国立公園の北の玄関口でもある。

美泉定山と定山渓温泉

冬の定山渓温泉
冬の定山渓温泉街。カメラを持つ手が凍えて震える。早く温泉に入りたい…。

定山渓温泉は、安政5年(1858年)に松浦武四郎により発見された。その後、慶応2年(1866年)より、僧侶の美泉定山(みいずみじょうざん)が中心となって湯治場を整備し、近隣の豊羽炭鉱の創業や、定山渓鉄道の開通とともに、市内有数の観光地として発展していった。

源泉公園の美泉定山和尚

美泉定山は備前国(現在の岡山県)出身の真言宗の修験僧。高野山などで修行を積んだ後、慶応2年に名もなき渓谷に移住して定山渓温泉の礎を築いた。

定山渓のみどころスポット

定山渓二見公園で北国の紅葉鑑賞

秋の定山渓二見公園
園内のあちこちで外国人観光客が映えるSNS写真の撮影に勤しんでいた。

秋の定山渓といえば紅葉がみどころ。そして定山渓の紅葉スポットといえば、定山渓二見(ふたみ)公園と二見吊橋をあげる人は少なくない。ちなみに定山渓二見公園は、札幌市の公園データベースには収載されていない。恐らくこのエリア一帯を指す愛称なのだと思われる。

豊平川の源流にふれる

豊平川の源流と二見吊橋
上流に見えるのが定山渓の紅葉写真でお馴染み二見吊橋。

定山渓温泉では豊平川の源流に間近に接することができる。豊平川は総延長70km以上の大きな河川で、南区から中央区、豊平区、白石区、東区の間を流れて石狩川に合流する。1970年代のカムバック・サーモン運動の舞台でもあり、札幌市のシンボル的な河川でもある。

定山渓の河童伝説

定山渓二見公園の河童大王
河童大王が河童の奥方に魅入られた青年のその後の姿なのかは定かではない…。

明治時代にこのあたりで魚採りをしていた青年が、突然川底に沈んで消息を絶った。それから1年後の夜に、その青年が父親の枕元に立ち、河童の妻と子どもをもうけて幸せに暮らしている…と語った。そしてそれ以来、この近辺では水難事故が止んだという伝説が残っている。

定山渓温泉で見かけた河童たち

ユーモラスな河童、抽象的な河童、リアルな河童、レディガッパなどなど、定山渓温泉のいたるところに河童をモチーフとした像やオブジェが設置されている。定山渓温泉全体で、河童を地域資源として盛り上げてゆこうという関係者たちの熱意が伝わってくる。

秋の定山渓なら二見吊橋

定山渓の二見渓谷
橋の下の2つの大きな岩を伊勢の二見浦になぞらえて二見岩と命名したのが名の由来。

二見吊橋から眺める秋の豊平川。右岸が”かっぱの淵”で、伝説となった水難現場(?)である。それにしても水が澄んでいて川底の小石までよく観察できる。この時はサケ・マスの産卵シーズンなので、遡上してくる魚影を探してみるも見当たらず。

定山渓の二見吊橋

二見吊橋にて。風のある日は結構揺れるので、高所恐怖症の筆者には厳しい試練であった…。もちろん橋の真ん中から眺める景色は絶景。

定山渓開拓の守護神 定山渓神社

定山渓神社
境内の奥側は夕日岳の登山口。ヒグマ出没エリアにつき要注意。

定山渓温泉街から国道230号線を横断すると大きな鳥居があり、その階段を登ると定山渓神社がひっそりと建っている。創建は明治末期頃といわれており、第二次大戦後には美泉定山も御祭神として祀られている。本殿の後ろには小さな境内社と馬頭観音の石碑もある。

定山寺で美泉定山の足取りを辿る

定山寺
訪問時は大雪だったが気さくな住職に宝物殿を案内して頂いた。…合掌。

定山寺は曹洞宗の寺院で、山号を大徳山という。大正5年(1916年)に設置された説法所がそのはじまりとされている。定山寺には宝物殿があり、美泉定山が愛用した品々や直筆の書簡などが多数収蔵・展示されている。見学は無料。

定山渓源泉公園で足湯を愉しむ

定山渓温泉の源泉公園
足湯で移動の疲れを癒やしてから定山渓温泉のみどころを巡りたい。

定山渓温泉街のエントランスを下るとすぐに定山渓源泉公園がある。ここは美泉定山の生誕200周年を記念して造成された公園で、細長い足湯が特徴的。入湯は無料でAM7時〜PM9時まで利用できる。ちなみに定山渓温泉街にはここ以外にも足湯施設がいくつかある。

大黒屋の温泉饅頭を堪能する

定山渓温泉 大黒屋の温泉まんじゅう
取材当時のお値段は1個80円。相方いわくこの数年は価格据え置きなのだそう。

相方イチオシの温泉饅頭。しっとりとした黒糖風味の薄皮の下はホクホクでやわらかい饅頭の生地と、なめらかで甘さと香ばしさが入り混じった餡がたっぷり詰まっている。御当地饅頭は温泉街の定番土産といってもいいくらいだが、大黒屋の温泉饅頭の味は格別。

大黒屋は定山渓源泉公園の向かいにある。とにかく大人気のお店で、当日の予定数を完売したらさっさと閉店してしまうため、朝イチで訪れたい。

大黒屋の外観

岩戸観音堂で心を癒やされる

定山渓温泉の岩戸観音堂
観音様は三十三の姿に変身してあらゆる人々を救うという仏教の伝承による。

岩戸観音堂は、定山渓温泉街の北西の突き当り、朝日岳のふもとにある小さなお堂である。このお堂は昭和11年(1936年)に峠道の開削工事の犠牲者の慰霊と定山渓温泉の発展を願って建立された。内部は地下トンネルがあって、三十三体の観音像が祀られている(見学有料)。

秋の風情を満喫できる白糸の滝

定山渓温泉の白糸の滝
振り返ると背後には最新式の巨大水力発電施設がある。

定山渓観光協会の公式サイトによると、白糸の滝は北海道で稼働する最古の水力発電所である定山渓発電所の戻り水が、小さな滝状になって流れ出ているものだそう。いわゆる山から流れ落ちる滝ではないので、白糸の滝は国道側にある。我々もつい山側に向かい迷いかけた。

白糸の滝のアップ

ゴォっと水しぶきを上げながら落下してゆく豪快な滝ではなく、まるで細糸のような繊細に静々と滴り落ちるような可憐な滝。秋の風情たっぷり。

大迫力の豊平峡ダム

豊平峡ダムの全景
豊平峡ダムには豊平峡ダムライナーから電気バスを乗り継いでアクセスする。

定山渓温泉街から豊平峡ダムライナー(専用バス)に乗って20分ほどで豊平峡ダムへ行くことができる。豊平峡ダムは高さ102m、札幌ドーム30杯分の貯水が可能とのこと。ダム湖は定山湖と呼ばれ、切り立った岩盤と四季折々の植物の彩りが美しいコントラストを見せてくれる。

豊平峡ダムは、毎年6月〜10月にかけて観光放水を行っている。毎分何トンくらいを放水しているのかわからないが、間近で見ると迫力満点。

豊平峡ダムの観光放水
定山渓温泉観光案内所

豊平峡ダムライナーの乗車券は定山渓神社の第一鳥居近くの定山渓観光案内所で販売している。当日販売のみ&即時完売なのでお早めに。

定山渓ネイチャールミナリエ

宿泊者限定のPremiumイベント

定山渓二見公園のネイチャールミナリエその1

定山渓ネイチャールミナリエは、6月〜10月の夜間に、定山渓二見公園と二見吊橋をライトアップするイベントで、定山渓温泉街のホテルやオートキャンプ場の宿泊者に限定した、Premium入場となっている。

イベントのテーマは夜の国立公園に現れる水と森の守り神の物語。定山渓二見公園と二見吊橋エリアを河童が棲む神秘の森に見立て、エリアごとに設定したストーリーを、プロジェクションマッピングによって映像化するというもの。

水と森の守り神 河童と戯れる

定山渓二見公園のネイチャールミナリエその2

定山渓二見公園の入口からライトアップされたパーゴラを通って河童の棲む森に入ってゆく。ちなみに右側のベンチは我々が大黒屋の温泉まんじゅうを食べていた場所。紅葉ピークの定山渓二見公園は最高だが、夜のイベントもスキなく作り込まれていて日中に劣らず秀逸。

定山渓二見公園のネイチャールミナリエその3

ここのテーマはForest Water Ripples。地面に水面を映し出し、木々が光り輝く幻想的な空間。水の波紋に、いたずら好きな河童が隠れているかも…といったストーリー。あちこちにプロジェクターが仕込まれていて、定山渓ネイチャールミナリエの壮大な世界観を表現。

定山渓二見公園のネイチャールミナリエその4

この地において河童は、国立公園定山渓に宿る水と森の守り神という設定。河童と巡るナイトウォークと題して、幻想的な夜の森で、河童の軌跡をたどるロマンチックなイベント。それにしてもこのイベントのリーダーはプロデュース力がハンパない。見事な手腕に拍手。

定山渓二見公園のネイチャールミナリエその5

二見公園の入口から河童と戯れる物語が始まり、二見吊橋でクライマックスを迎えるという設定。橋上では3分間のライトショーの後、河童たちが棲家へと帰ってゆく。オッサンも感動するやら感心するやら…。本当に細かなディティールまでしっかり計算して構成されている。

定山渓二見公園のネイチャールミナリエその6

夜の河童大王。プロジェクションマッピングでリアルに歓迎の口上を述べるのだが、ちょいとグロい。そろそろ筆者も宿に戻って一杯やるか…。

定山渓温泉のゆきかた

ようこそ定山渓温泉への看板(かっぽんつき)
定山渓のご当地キャラクターといえば温泉河童の”かっぽん”

アクセス

JR札幌駅からじょうてつバス かっぱライナー号(直行バス)乗車、60分で定山渓温泉に到着

じょうてつバス

じょうてつの路線バスで行くこともできるが、外国人観光客にシートを占領され、乗車できないケースもある。冬季は洒落にならないので、直行便をオススメしたい。

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宿泊なら鹿の湯がおすすめ

定山渓温泉の鹿の湯

今回、我々がお世話になったのは温泉街ど真ん中の鹿の湯さん。部屋はおまかせだったが、8階の見晴らしの良い部屋をご用意いただきとても快適に過ごすことができた。

鹿の湯のラウンジ

ラウンジも華やか。スタッフの方々が親切で、テキパキと仕事をしているのが印象的だった。

ゆったりとしたツインの和室。やはり温泉街は和室が似合う。タバコ臭もなく、とても快適。

鹿の湯のツインルーム
鹿の湯の夕食バイキング

夕食バイキングはコスパ高し。普段は獣肉や小麦粉を避ける筆者も、この日だけは少し羽目を外させてもらった。

参考情報
定山渓観光協会公式サイト
札幌観光協会公式サイト
豊平峡電気バス公式サイト

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  • この記事を書いた人

山口光博

札幌育ちの人事コンサルタント。小売業界に詳しく学生バイト時代を含めるとコンビニ、食品スーパー、総合スーパー、卸売など、流通チャネルに関わるほとんどの職場を経験。地元である札幌市とスープカレーをこよなく愛す。

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