宮丘(みやのおか)公園の概要
西区で最も広大な公園
宮丘(みやのおか)公園は札幌市西区と手稲区の境界付近に位置する公園で、丘陵を利用した331,611㎡(東京ドームおよそ6コ分)の敷地面積は西区の中では最大規模となる。広大な園内には散策路があり3ヶ所の展望台からは西区や手稲区を一望することができる。
入り組んだ丘陵地ゆえ公園の低地帯には住宅街が隣接していて近隣住民はまるで自宅の裏庭のように気軽に宮丘公園を訪れている。駐車場そばの手頃なパークゴルフ場(1コース9ホール)や少年野球場も整備されており管理事務所に申し込めば無料で利用可能。
神様の宿る丘
宮丘公園の北隣を宮の沢地区といい地下鉄東西線の終着駅のある場所として知られている。この地区は明治初期に旧仙台藩白石城主だった片倉景綱の家臣ら47戸が入植して開基したのだが、この時、沢地のすみに小さな祠を祀ったことから宮の沢と呼ぶようになった。
この小さな祠は現在、上手稲神社として宮丘公園の東端に建っている。恐らく宮丘公園という名称は「お宮の建つ丘に造った公園」などと開拓時代のエピソードにちなんで名付けられたのではないかと推察する。
上手稲神社は中の川と西野・屯田通の交差する位置に建っている。西野・屯田通を北上すると地下鉄宮の沢駅と商業施設が集まったエリアに出る。中の川はサケやサクラマスが遡上する。
片倉景綱はいわずと知れた伊達政宗の名軍師であり、猛将とうたわれた伊達成実とともに伊達宗家を支えた。なお西区の琴似神社は旧仙台藩亘理郡出身の琴似屯田兵が伊達成実を御祭神として祀ったことがはじまりである。
ヒグマ出没に注意
ここ数年、宮丘公園ではヒグマの出没が相次いでいて散策時は注意が必要である。特に手稲山麓側の原生林付近で多数の目撃情報が寄せられており、住宅付近の林でもヒグマの足跡などが発見されていることから早朝や夜間の来園は控えたほうがよいと思われる。
宮丘公園周辺は地下鉄駅や白い恋人パークなどが建ち並ぶ西区の中でも比較的賑わいのあるエリアだが、公園と山麓は道路や川などで隔てられておらず、大型動物の侵入防止柵なども設置されていないことからヒグマが人間の生活圏に侵入してしまう可能性は充分ありうる。
白い恋人パークは札幌市を代表する銘菓「白い恋人」で知られる石屋製菓が運営するチョコレートのテーマパーク。隣にはコンサドーレ札幌FCの練習場もあり連日多くの観光客で賑わう。
宮丘公園を散策する
リスクを避けて昼間のうちに公園東端の出入口から西方向へ進み公園の突き当りを南下してみる。写真の地図では右側の出入口から見晴広場へ出て、芝生広場と桜のトンネルを通過し、丸太階段までたどり着いたら少年野球場へと下って公園から出るルートとなる。
入口(宮の沢側)
宮の沢側の出入口から入園する。いきなりマムシに注意!の立て看板が視界に飛び込んできて思わず面食らった。なるべく笹薮に近づかないよう注意して進んでゆくことにする。
見晴広場
急な階段を登って見晴広場に到着。宮丘公園では恐らくここが最も眺望が良い場所だが夏場は樹木が生い茂って名前ほどの見晴らしでもない。もし可能なら冬季の眺望がオススメ。
芝生広場と時計塔
色とりどりの林を抜けて芝生広場に着くと視界が開けて一面に緑色のカーペットが広がる。平日の静けさもあり芝生広場はまるで宮沢賢治の童話の世界に迷い込んだかのように幻想的。
宮丘トンネルを越える
芝生広場の真下には宮丘トンネルが通っている。その下を走る北1条宮の沢通は毎日多くの通行車両で混雑する。現時点ではヒグマがこの上を渡って市街地に出現したという情報はない。
展望台
展望台に到着。宮丘公園の眺望スポットは先の見晴広場とこの展望台、そして丸太階段の南側にある展望広場の3ヶ所。夏はご覧のとおりだが冬季は手稲方面を見通すことができる。
丸太階段
丸太階段手前。2023年6月下旬にこの付近で正午と夕方にそれぞれヒグマの出没が目撃されている。札幌市が設置した監視カメラにもしっかりと映り込んでいたらしい。
展望広場
宮丘公園3つ目の展望スポットである展望広場。冬季は西野方面を見渡すことができる。冬にもかかわらず展望広場周辺にはそこそこ散策者が訪れているらしく多数の足跡があった。
林間広場
無駄と思いつつもスマホから大音量の音楽を流してヒグマを牽制してみる。途中ですれ違った女性二人組は熊よけの鈴をシャンシャン鳴らしながら颯爽と歩き去っていった。
少年野球場
ようやく少年野球場に着いた。出口まであともう少し。野球場のグラウンドは少し荒れていて普段はあまり使用されていない様子。ベンチに放置された古びたボールが少し寂しげ。
宮丘公園を散策してみて
都会の中の自然豊かな公園
写真を撮影しつつのんびりと公園を散策して1時間半ほどで西野側の出入口に到達した。このあたりまで来ると住宅街や幹線道路の喧騒が聞こえてきて、人間の生活圏まで無事に還ってこられたような安心感すら覚える。
宮丘公園は地下鉄駅や大型商業施設に近く交通アクセスの便利な立地ながら身近に自然を感じられる本格的な公園であり、ヒグマの危険さえなければ野趣あふれる散策路は見ごたえも歩きごたえも満点だ。
一方で手稲山麓の野生フィールドと直結していること、また野生動物の侵入を阻止するフェンスなども設置されていないことから来園時は薄暮や夜間の時間帯を避けたり、ヒグマ出没情報のチェックなど事前準備を怠りないようにしたい。