農業試験場転じて公園となる

農試公園は農林省北海道農業試験場(現在の農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センター)の跡地につくられた公園である。園内には野球場やテニスコートなどのスポーツ施設や、遊戯広場、ちゃぷちゃぷ池、交通コーナーといった子供向けの遊戯施設がある。
農業試験場は馬鈴薯や小麦をはじめとする農産物の品種改良、農業技術の普及などを行い北海道の農業発展に大きく貢献した。その後、農業試験場は1980年(昭和55年)に北海道大学農学部キャンパス内に移転し、その跡地は1983年(昭和58年)に農試公園として生まれ変わった。

撮り鉄スポット
琴似側入口のそばにはJR函館本線が走っていて陸橋下からの迫力あるアングルで特急を撮影することができる。
行幸記念碑
琴似側入口の石碑は1936年(昭和11年)10月8日に昭和天皇が農業試験場の視察に行幸された記念に建立された。

四季のみどころ
春〜満開の桜

農試公園は札幌市内有数の桜の名所としても知られており、4月下旬頃になると園内にはソメイヨシノやエゾヤマザクラなどが咲き乱れて来園者の目を楽しませてくれる。5月中旬に桜吹雪の舞う中を散策するのもとても風雅な趣があってよい。

農試公園は2024年に全面改修され、2025年はすっかりきれいになってリニューアルオープンした。
交通広場の跨線橋から眺めた桜。当日はあいにくの曇り空だったが、かえって幻想的な雰囲気を醸し出している。

夏〜深緑のツインキャップ

蔦で覆われたツインキャップのサンルーム。深緑のドームは農試公園のトレードマークとなっているが、実は冬期でも園内で多様なアクティビティを愉しめるように設置されたのがツインキャップである。

秋になるとサンルームも鮮やかな紅葉に包まれる。澄み切った秋の晴天とのコントラストが美しい。ちなみに内部は観葉植物が展示されている。
冬のサンルームはスッキリ。外は厳寒でも室内は暖かな陽の光と鮮やかな彩りの草花で満ち溢れている。明るく静かな館内は休日の読書に最適。

秋〜サケ観察会

農試公園のそばを流れる琴似発寒川は毎年秋になるとサケが自然産卵する貴重なスポットとして知られている。産卵シーズンには豊平川さけ科学館主催のサケ観察会が開催され、多くの来場者で賑を見せる。ちなみに一般人によるサケの捕獲は法律で禁止されているので注意。

産卵後のメスはその場にとどまって自らの命が尽きるまで卵を守り続けるそう。当日も多数の親子連れが参加して興味深く職員の話に聞き入っていた。
近隣の橋の上からもサケを観察できる。サケは産卵後30日で発眼し3月には川底から這い出てきて新川→石狩湾→ベーリング海へと降海してゆく。


晩秋の農試公園を散策する。秋の札幌市は暑くもなく寒くもなく、秋晴れが続く乾燥した気候なので、とても快適に過ごせる。私が生まれたのが秋ということもあるが、厳しい冬が到来する直前の美しくもはかない短いひとときが一年の中で最も好きである。
冬〜雪遊び

札幌市には大小2,000近い都市公園があるらしいが、そのほとんどは冬になると閉鎖され、近隣の雪捨て場と化してしまう。しかし農試公園では、一年を通じて子供たちの歓声が絶えない。冬のツインキャップ裏はソリ滑りで人気だが、子ども優先なのでスノボの練習は厳禁。

農試公園では毎年1月上旬から3月上旬まで歩くスキーコースが開設される。一周2.4kmのコースは冬季間の運動不足解消に最適。貸しスキーも完備。
公園内のおもな施設
D51形11号機

園内にはかつてデゴイチの愛称で親しまれた蒸気機関車が展示されている。この機関車の正式名称はD51形蒸気機関車11号機といい1938年(昭和13年)に日本国有鉄道により製造され、1972年(昭和48年)まで現役で活躍した。
交通コーナー

公園の中になぜ信号機?と思われた方もいるかもしれないので、念の為解説しておくと、ここは交通事故の心配なく、子ども達に交通安全ルールを教えることができる模擬交差点である。2025年のリニューアルで信号機やガードレールなどがしっかり整備された。
自転車貸出所

農試公園では交通コーナーの学習用として、無料の自転車貸出も行っている。あくまでも交通コーナーでの利用であり、貸し自転車に乗ったまま園外に出ることはできないので御注意を。
トンカチ広場

自転車貸出所に隣接して設けられているのが、トンカチ広場。親子や友達とさまざまな工作を楽しむことができるスペースとなっている。例えば夏休みの工作など、自宅では騒音や木屑などが気になるが、ここなら思う存分に腕を振るうことができる。
ちゃぷちゃぷ広場

子どもの水遊びスポットのちゃぷちゃぷ広場も大幅にリニューアルされた。さすがに5月の札幌市では、水遊びにはまだまだ時期尚早だが、今年の夏休みは大勢の家族連れで賑わうだろう。通水されたら改めて写真撮影に再訪したい。
遊戯広場

”新生”農試公園では遊具も一新され、ユニークかつ安全な遊具がズラリと勢揃いした。本記事ではスペースの都合上、全ての遊具をご紹介しきれないが、まだ肌寒い時期にもかかわらず、大勢の子どもたちが活発に遊んでいた。
野球グラウンド

ナイター完備の立派な野球場もある。ほかにもサッカーグラウンドやテニスコートなど、運動施設が充実している。また冬期はツインキャップ(アリーナ側)でトレーニングもできる。
農試公園のゆきかた

農試公園は農業王国北海道の礎を築いた農業試験場の跡地に造られ、四季を通じて地域住民の交流や憩いの場として親しまれている通年型の都市公園である。昨年のリノベーションを経て、2025年に新たにリニューアルオープンした農試公園の魅力はさらに増してゆくはず。
アクセス

電話番号;011-615-3680(農試公園管理事務所)
アクセス;JR琴似駅から徒歩15分、市営バス八軒6条西5丁目停留所から徒歩1分
ホームページ;公共交通機関のご案内
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参考文献
・札幌市環境局 農試公園屋内広場ツインキャップ リーフレット
・さっぽろたうん情報 1998年9月号
・O.tone 2023年 vol.176
・さっぽろ文庫64 公園と緑地
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