スープカレー

アジトハチャム(札幌市西区)

2024年4月28日

”神は細部に宿る”を貫徹する魂のカリー

アジトハチャムのスープカリー

アジトハチャムは札幌市西区発寒エリアにあるスープカリー専門店で、変わった店名は発寒の語源となったアイヌ語のハチャム・ペッ(ムクドリのいる川)に由来する。今年4月に開業7周年を迎えた札幌スープカリー業界の中では比較的新興のお店といってよいだろう。

アジトハチャムのコンセプトは「魂のスープカレー」。道産丸鶏や香味野菜などを8時間以上かけて煮出したベースに魚介出汁を合わせたり、仕込み水にいったん電気分解して不純物を除去した還元水を用いたりするなど、細部にわたるまで店主のこだわりが貫徹されている。

アジトハチャム実食レビュー

チキンベジタブルカリー

アジトハチャムのチキン野菜カリー

それでは筆者の頂いたチキンベジタブルカリーからレビューしたい。スープはオリジナル、辛さは10番をチョイス。トマトベースに焦がしバジルの札幌スープカリーの定番スープで、ややとろみのあるとてもまろやかで深い味わい。辛さ10番は辛党の方ならまだいけそうなレベル。

丸鶏と香味野菜をじっくり煮込んで仕込んだスープは、化学調味料ベースのクッキリ・ハッキリ・余韻ナシといった雑な味ではなく、トマトの酸味の後から鶏ダシの旨味が舌の上に拡がる上質なもの。塩分控えめなフレーバーも旬の素材の繊細な味わいをしっかり感じとれて良い。

グリルチキンはいったん蒸してから表面をローストしているようだ。香ばしく焼き上がった鶏皮と柔らかい軟骨が絶品。野菜はカボチャ、ピーマン、オクラ、ブロッコリー、ヤングコーンなど12種類。厚揚げや芋団子などのトッピングは珍しいが、同店のカリースープとよく合う。

豚角煮カレー

アジトハチャムの豚角煮カリー

相方はポーク角煮カリーをオリジナルスープ、辛さ0番、ライスを小盛りでお願いした。スープは玉ねぎ由来と思しき甘みから始まり、続けてスパイスの刺激が感じられるが、他店の辛さ0番に比べると結構辛めの味付けのようだ(ただし水があれば完食できるとのこと)。

具材はフォークで簡単に身がほぐせるほどしっかりと煮込まれた豚の角煮と、素揚げされたレンコン、ナス、ニンジン、ブロッコリー、パプリカ、キャベツなどの野菜類に、半割のゆで卵が添えられる。女性客には充分すぎるほどのボリュームで1,250円は満足度高し。

また白一色の食器とシンプルで使いやすいカトラリー、シックな店内の演出、ゆったりと座ることができる広いシートは好感度高し!とのこと。丁寧に調理している分、配膳に若干時間を要するものの、それを補って余りある非日常的な時間は、女性客にも支持されそうだ。

基本メニューとオーダー

基本メニュー

アジトハチャムのメニュー表

メニューはチキン、ベジタブル、チキンベジタブルにキッズカリーのレギュラーメニュー4品と、ラムキーマ、パイクー(豚のアバラ軟骨)、ポーク角煮、キーマ納豆の数量限定メニューの4品となっている。平日ランチタイム限定でオトクなランチカリーも提供している。

アジトハチャムのメニューはとてもリーズナブル。昨今は多くの飲食店で値上げが続いている中にあって、低めの価格設定は庶民にはありがたい。例えばベーシックなチキンカリーやベジタブルカリーでも充分ボリューミーなのに雑穀米ライス付きで1,050円はもはや神の領域。

アジトハチャムのメニュー表(酒類)

アルコールドリンクを取り扱っているスープカリー専門店は少なくないが、アジトハチャムはバーボンを中心とした豊富な品揃えが魅力。バー併設のスープカリー専門店は希少だろう。

店主の店作りへのこだわりが随所に見られるアジトハチャム。写真はお洒落な卓上ソルト&ペッパーで、てっぺんのボタンを押して使う。食中に塩を加えて味わいを増してみた。

アジトハチャムの卓上ソルト&ペッパー

オーダー方法

アジトハチャムの古代米ブレンドのライス

オーダー方法は、①基本メニューを選ぶ→②スープを選ぶ→③スープの辛さを選ぶ→④ごほんの量を選ぶ、の4ステップ。スープはレギュラー、ココナツ、トマトクリームの3種類、辛さは1~20番まであり10番までは無料、ごはんは健康によい古代米ブレンドのみとなる。

Webサイトのメニュー表には掲示されていないが、アジトハチャムはレギュラースープとトマトクリームスープを流用したカレーパスタも2種類ラインナップしている。〆に一口ライスを入れてリゾット風味も楽しめるらしく、これは業界内ではとても珍しい品揃えだ。

当サイトで紹介しているメニューについて
当サイトでご紹介しているメニューの内容および価格は記事投稿時のものであり、各店の事情によって適宜変更となることもあります。現行のメニューと価格については恐れ入りますが各店の公式サイトより直接ご確認ください。(運営者)

アジトハチャムのゆきかた

店内の雰囲気

アジトハチャムのバーカウンター

店内のカウンター席。スープカリー屋さんというより近所の小さなバーといった風情。全体的にウッドブラウン、グレー、ブラック、メタル地でクールにまとめられていて、店主のセンスが光る。ジムビームやメーカーズマークなどバーボンがイチオシらしい。

アジトハチャムはスープカリーにとどまらず、バーボンを呑みながらギターやスノボ談義などに花を咲かせることができる発寒の隠れ家的スポット=同好の士のアジトだ。比較的業歴の若い店ゆえに、既成概念に囚われない自由な店作りを楽しんでいる感じが伝わってくる。

アジトハチャムの壁面に飾られたギター

壁に飾られたギター。店内には80年代の洋楽が流れていて、当時MTVにどっぷり浸かっていた筆者にはとても懐かしい雰囲気。きっと店主とは音楽の話がよく合うに違いない。

アジトハチャムではなんとギター教室も開催している。Webサイトの案内ページは「現在準備中」だったが、1回500円から完全プライベートのレッスンを受けられるそう。

アジトハチャムのギター教室案内
アジトハチャムのレンタルスノボ

同店はスノボの試乗やレンタルも行っている。食事以外の常連客が滞留すると座席回転率が落ちるのでは?などと下世話な心配をしてしまうが、店主にとっては仕事が趣味といった感じ。

営業時間とアクセス

アジトハチャムの店舗外観

定休日;毎週火曜日(他不定休あり)
営業時間;11時30分~22時迄
電話番号;011-663-8363
アクセス;JR中央駅から徒歩5分
公式サイト;https://ajitohacham.jimdofree.com/

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  • この記事を書いた人

山口光博

札幌育ちの人事コンサル。リテール業界に詳しく学生バイト時代を含めるとコンビニ、食品スーパー、総合スーパー、問屋&物流センターなど、流通チャネルに関わるほとんどの職場を経験。地元とスープカレーをこよなく愛す。

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