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神社仏閣

札幌村神社(札幌市東区)

2024年11月3日

札幌発祥の地に佇む札幌村神社

札幌村神社の鳥居と社殿

札幌市営地下鉄の環状通東駅周辺は、市内でも早く江戸時代末期に開拓が始まった、札幌の発祥の地とも言われる地域です。

札幌村神社は、かつて札幌村と呼ばれていたこの地の守り神として創祀された神社です。

今回は写真を交えながら、札幌村神社の歴史や魅力をご紹介します。

札幌村神社のご由緒

札幌村の成立

札幌村郷土記念館前庭の大友亀太郎像
大友亀太郎像(札幌村郷土記念館)

札幌村神社の周辺は、江戸時代末期に幕府の名を受けた大友亀太郎により開拓が進められた場所で、札幌市内でも早くから人々が暮らし始めた地域の一つです。

明治3(1870)年には、新潟県からの入植者が隣接地域に「札幌新村」を築き、一方で大友亀太郎による開拓地は「札幌元村」と呼ばれるようになりました。

その翌年、元村と新村は合併し「札幌村」となりますが、この村の鎮守社として建てられたのが札幌村神社です。

札幌村神社の創祀

札幌村神社の鳥居と社号碑

札幌村神社は明治33(1900)年(明治32(1899)年とも)に、現在より2町ほど南の場所で創祀されました。

翌年には、北海道総氏神である札幌神社(現在の北海道神宮)のご分霊を受け、公認神社となります。

この際、当初「札幌神社」として公認神社の届出をしたものの、北海道総鎮守たる札幌神社(現在の北海道神宮)と同名だったために許可されず、「村」の字を入れたという興味深いエピソードが今に伝えられています。

札幌村神社の発展

札幌村神社の鳥居

昭和9(1934)年、境内地とその周辺が札幌市に編入されましたが、社名はそのままに、札幌村神社は引き続き地域の守り神としての役目を果たしていきました。

なお、この札幌市編入の影響か、もしくは創祀当時の小字によるのかは不明ですが、地元では「元村神社」と呼ばれていた時期もあったようです。

昭和46(1971)年には、札幌市の区画整理事業に伴い現在地に移転し、その後、平成になっても社殿や社務所・玉垣が新築されるなど、境内の整備が進められています。

札幌村神社のご祭神

札幌村神社には、大国魂神(おおくにたまのかみ)・大己貴神(おおなむちのかみ)・少彦名神(すくなひこなのかみ)の3柱の神様がお祀りされています。

いずれのご祭神も、公認神社となるにあたり、札幌神社(現在の北海道神宮)からご分霊を受けたものです。

札幌村神社の社殿の扁額

大国魂神

北海道の国土の神様です。

大己貴神

「大国主神(おおくにぬしのかみ)」とも呼ばれる、日本神話で地上世界の国造りを行ったとされる神様です。

開拓や国土経営の神といわれています。

少彦名神

大己貴神の国造りに協力したとされる神様です。

開拓や国土経営の他、医療や酒造りの神といわれています。

札幌村神社の境内

社殿

札幌村神社の社殿

札幌村神社の現在の社殿は、平成19(2007)年に造営された三代目のものです。

ログハウスのようにも見える、温かみのある木材の風合いが印象的です。

狛犬

札幌村神社の狛犬(阿形)
札幌村神社の狛犬(吽形)

鳥居の前で境内を守るのは、市内の神社でお馴染みの札幌軟石製の狛犬です。

作られた時期は不明ですが、その姿形の特徴などから、明治時代もしくは下っても大正初期のものと推測されています(『ほっかいどうの狛犬』)。

一方で、台座には、奉納者名が記された昭和47(1972)年のものと、狛犬移転と書かれた平成9(1997)年のもの、2つのプレートが取り付けられています。

昭和47(1972)年のプレートは前年の神社移転を機に台座を新調した際に、平成9(1997)年のプレートは境内の中で狛犬を移転した際に、それぞれ取り付けられたのかと想像します。

日露戦後忠魂碑・馬頭観世音碑

札幌村神社の日露戦後忠魂碑・馬頭観世音碑

境内の右側の奥には、ひっそりと立ち並ぶ大小2つの石碑。

大きい石碑には「日露戦後忠魂碑」とあり、戦争で亡くなった地域の人々の鎮魂のために建てられたことが分かります。

日露戦争終結の翌年に当たる明治39(1906)年建立で、台座には48名の有志の名前が刻まれています。

札幌村神社境内の馬頭観世音碑

また、その隣の「馬頭観世音」と刻まれた小さい石碑は、農耕に使われた牛馬の供養のために建てられたものです。

建立は昭和30(1955)年で、札幌市内の神社でよく見かける馬頭観音碑の中では、比較的新しいものと思われます。

手水舎

札幌村神社の手水舎
札幌村神社の手水鉢

人感センサーで水が出る手水舎も珍しくない昨今ですが、札幌村神社はボタン式です。

手水舎の柱に備え付けられた出水ボタンを押すと、水が出るようになっています。

手水鉢の隣に紙コップが用意されているところを見ると、飲用可能なのでしょうか?

歴史の息吹を感じる札幌村神社

かつての畑が広がる農村から、住宅や店舗が立ち並ぶ街となった札幌村。

その鎮守社として創建された札幌村神社は、今も昔も、この地の歴史を見守るように静かに佇んでいます。

周辺には札幌村郷土記念館や、大友亀太郎ゆかりの妙見山本龍寺など、当時の面影を今に伝える場所が点在しています。

これらのスポットとあわせて札幌村神社を参拝し、札幌発祥の地の歴史に触れてみてはいかがでしょうか。

アクセス

アクセス:札幌市営地下鉄東豊線「環状通東」駅より徒歩4分
公式X(旧Twitter):札幌村神社公式X(旧Twitter)

参考文献
「さっぽろ文庫1 札幌地名考」(札幌市教育委員会 編/1977年)

「さっぽろ文庫39 札幌の寺社」(札幌市教育委員会 編/1986年)
「札幌村史」(本田辰雄 編/1950年)
「郷土誌 元町北(改訂版)」(札幌市立元町北小学校 編/1982年)
「ほっかいどうの狛犬」(丸浦正弘 著/2007年)

  • この記事を書いた人

福島智美

札幌生まれ、札幌育ちの文学修士。学術からビジネス実務の道へ転身し、山口と共に起業する。学芸員資格者でもあり、北海道博物館での実習経験もある。本サイトでは史跡や寺社などを担当。趣味は和装とフィギュアスケート観戦。

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