知る人ぞ知る桜の隠れ名所
桜色に包まれる至福のスポット
札幌には地元民しか知らない隠れた桜の名所が結構たくさんある。今回ご紹介する通称「ミニ大通」もそんな隠れ花見スポットのひとつで、毎年春には見事な桜色のトンネルで覆われる。
「ミニ大通」の「大通」とは札幌市のシンボルのひとつと言っても過言ではない、あの大通公園のことである。一方で、こちらの小さな大通公園は、なんとなく存在には気づいていても、名称までは知らない、という札幌市民は少なくない。
2つの桜が織りなす紅白の競演
ミニ大通に植樹されている桜は、エゾヤマザクラとソメイヨシノである。これらはの樹々は交互に配置され、まるで紅白の横断幕のようである。
エゾヤマザクラとソメイヨシノは開花のピークが2〜3週間ほどズレるため、完璧な紅白とはまではゆかないが、ミニ大通のコンパクトさゆえに、美しい桜を間近で堪能できる。
鮮やかなピンク色が特徴のエゾヤマザクラ。エゾヤマザクラは北海道を代表する桜で、寒冷に強い。他の桜より開花が遅いのが特徴。
ソメイヨシノは日本でもっともポピュラーな桜としてお馴染み。開花直後は淡いピンク色で、時の経過とともに白色が強くなる。
トンネルを抜けるとそこは植物園だった…!?
ミニ大通を東へ向かってゆっくり15分ほど散策すると、ほどなく終点につきあたる。終点は道道452号線で行き止まりとなるが、道道452号線は、南側は定山渓温泉に向かう国道230号線に連結し、北側は新川通を経て石狩湾に至る、市内有数の幹線道路である。
道道452号線の向こう側には北海道大学の植物園があり、さらにその奥に進むとJR札幌駅と赤レンガ広場を中核とする大きな商業エリアがある。人口200万人の札幌市の中心部にも関わらず、こんな素敵な癒やしスポットがあるとは知らなかった。
正式名称は北四条歩行者専用道
開拓時代の防火帯の名残
「ミニ大通」は愛称であり、正式名を「北四条歩行者専用通」という。ネットの情報を漁ってみると、なんでも明治時代の開拓期に、この近隣の防火帯として造成されたらしく、当時は樹木や草花もない殺風景な空き地だったと言われている。
1975年に、札幌市により歩行者と自転車専用の都市景観散歩道として整備され、都心エリアのオアシスとして、地域住民などに親しまれている。初夏のとある日のこと、美しい外国人の少女が、パーゴラ下のベンチで読書に勤しんでいた。
夏のミニ大通。最近はめっきり暑くなった札幌の夏だが、木陰と緑のグランドカバーに癒やされる。
Googleレンズで調べると、この小さな白い花はスーパーアリッサムというグランドカバーに人気の品種。
安心・安全に散歩を楽しめる
秋の柔らかい日差しの中、久々のミニ大通をゆく。実は筆者にとって、ミニ大通はかつての通勤路である。悲喜こもごもの想い出が詰まった場所ながら、今年は念願の難関国家試験に合格でき、まさに感無量。人生、終わり良ければ全て良し…なのだ。
ナナカマドが鮮やかな赤い実をつけているが、紅葉にはまだ少し早い時期。近年は自転車と歩行者の接触事故が増えている。だが、ミニ大通の中央は歩行者専用、左右の小径が自転車専用道路と分かれており、お年寄りや子どもも安心して散歩を楽しめる。
秋の夕暮れに映える鮮やかなマリーゴールド。ミニ大通の沿道は、園芸市のような多種多様さ。
西17丁目側の終点には四羽の雀のオブジェ。四羽とも微妙に向きや表情が違っていて面白い。
北四条通歩行者専用道のゆきかた
ミニ大通は、大通公園の4丁北側を並行に走っていて、本家同様に丁目ごとにいくつかのエリアに分かれている。道中にはベンチあり、東屋あり、橋ありと、工夫を凝らした造作が随所にあり、ちょっとした散策気分を味わうことができる。
アクセス
西11丁目側〜JR札幌駅から徒歩15分、西15丁目付近〜JR桑園駅から徒歩10分