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博物館・資料館・美術館

北海道大学総合博物館(札幌市北区)

2023年10月4日

北海道大学の歴史と今に触れる博物館

北海道大学総合博物館

札幌駅北口から徒歩数分の場所に位置する北海道大学は、国内に7校存在する旧帝大の一つです。

ポプラ並木に代表される自然あふれる北大のキャンパスは、札幌の観光スポットとしても有名ですが、実はその中に無料で見学できる博物館があることを知っている方は、少ないのではないでしょうか?

今回は知る人ぞ知るスポットである、北海道大学総合博物館(以下、北大総合格物館)を紹介します。

北大総合博物館の沿革

北海道大学キャンパス内
散策スポットとしても人気の北海道大学キャンパス

北大総合博物館が開館したのは平成11(1999)年で、札幌市内の博物館・美術館の中では比較的新しい施設となります。

北大は戦前より植物園内に博物館を所有していましたが、一般市民にも広く情報を発信することを目的に、新たに総合博物館が設けられました。

(ちなみに植物園の博物館は現在も運営されており、映画「南極物語」で有名な樺太犬・タロの剥製などが展示されています。)

なお、平成28(2016)年には展示内容のリニューアルが行われています。

北大総合博物館の建物

北海道大学総合博物館の建物正面

北大総合博物館の建物は、昭和4(1929)年に理学部校舎として建てられたもので、北大に残る本格鉄筋コンクリート建築としては最古のものとなっています。

外壁に使われている茶褐色のタイルは縦にギザギザとした細かい溝の模様が入っていますが、これはスクラッチタイルといい、建築当時に流行っていたものだそうです。

ゴシック風の建物で、洋風レトロなその雰囲気は着物でのお出かけにもピッタリですね。

北大総合博物館の常設展示

北大総合博物館の展示は、「北大の歴史の紹介」「北大の各学部や各研究センター等の紹介」「北大が収蔵している標本の展示」と、大きく3つに分けられます。

北大総合博物館3階廊下
廊下まで展示スペースになっている北大総合博物館3階

展示室は1階から3階に及び、説明パネルなどの「読む展示」のボリュームが多いことも相まって、隅から隅までじっくり見学すると、半日ほどかかります。

訪れる際は時間に余裕をもっておくか、事前に公式HPで見たい展示をピックアップすることをお勧めします。

読んで学ぶ

遠友夜学校パネル展示

「大学の歴史や研究成果を紹介する博物館」という側面を持つためか、北大総合博物館は他の博物館や美術館と比べてパネル展示が多い印象を受けます。

各パネルの密度も濃く、なかなかの読み応えです。

薬学部紹介パネル

各学部・研究センターなどの授業や研究内容を紹介する展示。様々な資料を交えながらも、パネルによる説明が中心となっています。

北大には12の学部と21の大学院があり、これは国立大学の中では最多だそうです。
各学部ごとに黒板が設置されており、展示内容を柔軟に変更できるように工夫されています。
高校生が進路を考える良いヒントにもなりそうですね。

北海道大学獣医学部の紹介

見て学ぶ

北大総合博物館が所蔵する学術標本約300万点を中心に、様々な「モノ」を見ることができます。

アザラシの親子の剥製
エゾシカの親子の剥製

収蔵棚に挟まれた床の上にはアザラシの親子の剥製、別の棚の奥には小鹿とひょっこり顔だけ出した親鹿の剥製が。
どうせしまっておくなら来館者の目につくところに置いておこう…なんて遊び心を感じます。

恐らく多くの来館者の印象に残るであろう、天井に届きそうなサイズのマンモス。
レプリカだそうですが、間近で見るとそのサイズ感に圧倒されます。

マンモスのレプリカ
北大総合博物館オープンハーバリウム

右奥の棚に置かれた植物標本を、実際に手に取って観察できるオープン・ハーバリウム。
標本の作り方だけでなく、取り扱い方も詳しく説明されています。研究者になった気分を味わえるかも?

北海道で恐竜というとむかわ町が有名ですが、北大博物館にも恐竜をはじめとした古生物の骨格標本が展示されています。

古生物の骨格標本展示

聞いて学ぶ

アイヌ神謡の蝋管レコード展示

20世紀初頭に蝋管レコードで録音されたアイヌ神謡は、アイヌ語の録音資料としては最も古い部類のものだそうです。
実物の蝋管レコードや北大で開発された再生装置の展示と共に、その音声を聞くことができます。

触れて学ぶ

体験型の科学館などと比べて数は多くありませんが、北大総合博物館にも体験型の展示がいくつか用意されています。
新型コロナが流行していた頃は休止になっていた展示も、現在ではおおむね復活しているようです。

感じる展示室の標本展示

岩石などの標本を自由に手に取ったり、虫眼鏡で観察できる展示スペース。
棚の上だけでなく引き出しの中にも標本が入っています。
机と椅子も準備されているので、お子さんの自由研究の題材にもいいかもしれませんね。

医学部の展示スペースにある内視鏡外科手術の練習セット(写真右端)。
北海道大学病院で実際に使用しているものを博物館用に改造したという本格派です。

内視鏡外科手術練習セット

買う&味わって楽しむ

ミュージアムショップとカフェの看板

1階入口の右手には、ミュージアムショップとカフェがあります。

ショップでは、お土産にもなる博物館オリジナルグッズや関連書籍などが販売されています。

また、カフェでは北海道産の素材にこだわったメニューを楽しめます。
座席も多めに確保されているので、散策の休憩に寄ってみるのもいいですね。

まとめ

北大総合博物館のアインシュタインドーム
中央階段は3階まで吹き抜けのらせん状で、天井はドームとなっている

北大総合博物館は大学の研究成果を紹介する場でもあるためか難しい内容の展示も多いのですが、そんな中でも実際に観察したり触ったりすることで子供から大人までが楽しめるよう、様々な工夫がされています。

このボリュームと内容で入場無料というのは、本当にお得です。
札幌駅から歩いていくことができアクセスも良いので、ぜひ一度訪れてみることをお勧めします。

アクセスと開館時間

アクセス;JR札幌駅北口から徒歩13分、地下鉄南北線北12条駅より徒歩9分
休館日;毎週月曜日(祝日の場合は次の平日)、12月28日~1月4日
開館時間;10:00 ~ 17:00
入場料;無料
電話番号;011-582-7555
公式HP;https://www.museum.hokudai.ac.jp/

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参考文献
「さっぽろ文庫23 札幌の建物」(札幌市教育委員会 編/1982年)

  • この記事を書いた人

福島智美

札幌生まれ、札幌育ちの文学修士。学術からビジネス実務の道へ転身し、山口と共に起業する。学芸員資格者でもあり、北海道博物館での実習経験もある。本サイトでは史跡や寺社などを担当。趣味は和装とフィギュアスケート観戦。

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