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博物館・資料館・美術館

札幌市時計台(札幌市中央区)

2023年1月10日

札幌のシンボル、札幌市時計台の魅力

札幌市時計台
記念撮影をする人でにぎわう、札幌市時計台

札幌の中心部にある札幌市時計台は、北海道の開拓使時代を代表する米国風建築物です。
明治初期に札幌農学校の演武場として建てられ、開拓初期の札幌の雰囲気を今に伝えています。

札幌のランドマークとして親しまれている時計台には多くの人々が訪れますが、内部を見学する人は意外と少ないのではないでしょうか。

実は、時計台の内部を見学すると、その構造や仕組み、札幌農学校の歴史を学ぶことができます。
今回は、そんな札幌市時計台の魅力を、内部見学を通してご紹介します。

札幌市時計台の歴史と特徴

約150年の歴史を誇る札幌市時計台は、その長い歴史の中で、さまざまな役割を果たしてきました。
また、その建築物としての特徴も、多くの人々を魅了してきました。

札幌市時計台のなりたちと歴史

札幌農学校の演武場

明治20年代の札幌市時計台
明治20年代頃の時計台(北海道大学附属図書館所蔵)

札幌市時計台は、明治11(1878)年、札幌農学校(現在の北海道大学)の演武場として建てられました。
創建時は、現在地よりも150mほど北東にあり、1階で授業、2階で軍事教練が行われたほか、卒業式の会場などとしても使用されていました。

図書館として

明治34年、札幌農学校創基25周年記念式典の演武場
移築2年前、札幌農学校創基25年記念式典の様子(北海道大学附属図書館所蔵)

明治36(1903)年、札幌農学校が現在地に移転するとともに、演武場も札幌市のものとなり、現在地に移築されました。

明治44(1911)年には、北海道教育会が時計台に付属図書館を開設。
この後、戦中・戦後の一時期を除き、昭和41(1966)年までの約半世紀に渡り、時計台は図書館として使用されました。

大正時代には一日に百数十人が訪れ、昭和30年代には入館を待つ学生が長蛇の列を作るなど、札幌市民に大いに利用されました。

また、各種の会合にも使用され、内村鑑三や有島武郎など札幌農学校を卒業した著名人も、時計台で講演を行っています。

重要文化財に指定、資料室として公開

札幌市時計台1階の様子

昭和41(1966)年の図書館移転に伴い、永久保存のため復元改修工事を行った時計台は、札幌農学校や開拓の歴史を伝える資料室として、昭和43年(1968)年にオープンしました。

その後の昭和45(1970)年には、国の重要文化財にも指定されています。

創建から約150年となる現在でも、時計台は札幌の中心部でその鐘の音を響かせています。

建築物としての特徴

札幌市時計台の外観

札幌市時計台は、北海道開拓使時代の代表的な建築物の一つです。

その建築様式は、当時のアメリカ中西部の建築様式の影響を受けており、特徴として「下見板張り」と「バルーンフレーム構造」の2つが挙げられます。
また、その名の由来となっている塔時計も特徴的です。

下見板張り

下見板張りとは、横に長い板材を、下端がその下の板の上端に少し重なるように重ねる外壁仕上げです。

この下見板張りは、アメリカから開拓初期の北海道に持ち込まれた建築様式で、様々な建築物に用いられました。

札幌市時計台の外壁も、下見板張りで仕上げられています。
(写真は札幌市南区のエドウィン・ダン記念館。時計台と同じく下見板張りの外壁を持つ)

下見板張りの例(エドウィン・ダン記念館)

バルーンフレーム構造

バルーンフレーム構造の特徴を表した札幌市時計台2階の様子
バルーンフレーム構造の特徴が色濃い、時計台2階の様子

バルーンフレーム構造とは、2×4材を密に並べ、柱・梁と一体化した壁面全体で屋根を支える建物の構造のことです。

太い柱や梁が不要で広々とした屋内空間を確保できるほか、釘打ちだけで組み立てられるため施工が容易というメリットがあります。

19世紀半ば頃、アメリカ中西部の開拓地に広まった建築様式で、札幌市時計台は、この構造を取り入れた様式になっています。

塔時計

札幌市時計台の塔時計の兄弟時計
時計台の塔時計と同じハワード社の時計も展示されている

札幌市時計台の塔時計は、創建から3年後の明治14(1881)年にアメリカのハワード社から輸入されたもので、日本でも最古級の塔時計です。

動力に重りを用いた振り子時計で、週に2回、人力で重りの巻き上げを行うという、昔ながらの方法が今も続いています。

時計台の鐘は、今も毎正時に鳴り響き、札幌の時生活を刻み続けています。

札幌市時計台をたずねて

札幌市時計台の入場券売り場
照明がおしゃれな入場券売り場

時計台は、札幌市民にとって身近な存在です。
身近ゆえに訪ねる機会もなかったのですが、札幌市民として、一度はじっくりと見ておきたいと思い、毎月16日の札幌市民無料日に時計台を訪れました。

時計台の印象

時計台の室内に入ると、高層ビルに囲まれた現代的な立地から、途端にレトロな雰囲気に包まれました。

札幌市時計台1階の様子

1階は、札幌農学校の歴史や、創建から平成の修理工事の概要に至るまでの時計台の歩みなどを紹介する展示が並んでいました。

時計台を巡る様々なエピソードの紹介も豊富で興味深く、規模はさほど大きくないものの、充実した内容でした。

札幌市時計台2階のクラーク博士のベンチ
クラーク博士と並んで記念撮影できるベンチも

2階は天井がなく広々としており、1階とは異なり明るく開放的な印象を受けます。

夜はホールとして貸し出されているため、あまり展示は充実していないかと思いきや、塔時計の紹介を中心に、壁際に様々な資料が展示されていました。

全体的に、シンプルで実用的な造りでありながら、歴史と文化を感じさせる、札幌を代表する建物だと感じました。札幌市民として、これからも大切にしていきたいものです。

おすすめの楽しみ方

室内をじっくりと見学する

札幌市時計台1階の展示の様子

明治初期の西洋建築の雰囲気を味わいつつ、札幌農学校や時計台の歩みを通じて、札幌の開拓の歴史を知ることができます。

また、2階には、時計台の塔時計と同じハワード社製の兄弟時計が展示されています。重りで動く塔時計の仕組みを間近で見ることができる貴重な機会です。

夜間のコンサートもおすすめ

札幌市時計台2階の様子を正面から撮影
時計台2階は天井が高いため、音がよく響く

時計台の2階は、夜間は一般貸出されており、コンサートを中心とした、様々な催し物が行われています。
公式ホームページでホールの利用状況をチェックして、催し物を楽しむのもおすすめです。

筆者もコンサートを聞きに行きましたが、西洋レトロな室内とクラシック音楽の雰囲気がよく合っていて、素敵な時間を過ごすことができました。

札幌を訪れるなら、ぜひ時計台に

夜の札幌市時計台

札幌市時計台は、札幌の中心部にある、誰もが知るランドマークです。
明治初期の西洋建築の趣を残す外観と、時計台や札幌農学校の歴史を紹介する展示が魅力です。

また、大通公園や北海道庁旧本庁舎など、札幌の代表的な観光スポットからも近い場所にあります。

札幌を訪れる際には、ぜひ一度、時計台に立ち寄って、北海道の歴史や文化に触れてみてください。

アクセスと開館時間

休館日;1月1日~1月3日
開館時間;8時45分 ~ 17時10分(入館は17時まで)
観覧料;大人200円、高校生以下無料(中高生は学生証の提示要)※キャッシュレス決済可
電話暗号;011-231-0838
アクセス;地下鉄「大通公園駅」から徒歩5分、JR北海道「札幌駅」から徒歩10分
公式HP;http://sapporoshi-tokeidai.jp/

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参考文献
「さっぽろ文庫6 時計台」(札幌市教育委員会 編/1978年)
「時計台ものがたり」(NPO法人 札幌時計台の会 編/2008年)
「札幌の文化財」(web版)

  • この記事を書いた人

福島智美

札幌生まれ、札幌育ちの文学修士。学術からビジネス実務の道へ転身し、山口と共に起業する。学芸員資格者でもあり、北海道博物館での実習経験もある。本サイトでは史跡や寺社などを担当。趣味は和装とフィギュアスケート観戦。

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