子どもも大人も楽しく学べる札幌市下水道科学館
札幌市下水道科学館は、私たちの生活に欠かせない下水道の重要性を、楽しく学ぶことができる施設です。
下水処理の仕組みや水再生技術などをわかりやすく解説した展示など、子どもから大人まで楽しめるコンテンツが充実しています。
また、体験型の展示も多く、楽しみながら下水道の役割を理解することができます。
さらに、入場料が無料で気軽に訪れることができるのも嬉しいポイントの一つです。
今回は、そんな札幌市下水道科学館の魅力をお伝えします。
札幌市下水道科学館の概要
札幌市下水道科学館は、平成9(1997)年に創成川水再生プラザ(下水処理場)の敷地内に誕生しました。
平成30(2018)年には、体験型の展示を数多く取り入れてリニューアルオープン。
同年中に来館者数100万人を達成するなど、下水道の重要性を市民に伝え水環境への理解を深めるための施設として、多くの来館者に親しまれています。
また、家族連れに特に人気のあるこの施設では、工作教室や観察会、勉強会など、様々なイベントが開催されています。
中でも毎年9月に開催される「札幌市下水道科学館フェスタ」は縁日やステージ企画なども行われ、2日間で数千人が訪れる人気イベントとなっています。
札幌市下水道科学館の前を流れる創成川で見かけた魚影。
毎年8月には札幌市豊平川さけ科学館の協力を得て、創成川の生き物の観察会が行われています。
札幌市下水道科学館を訪ねて
地下鉄麻生駅やJR新琴似駅から徒歩15分ほど、もしくは麻生駅や札幌駅からの路線バスを下車して徒歩5分ほどかかる札幌市下水道科学館。
今回は直前に太平地区を訪れていたため、北49条東8丁目のバス停留所から10分ほど歩いて向かいました。
科学館の前を流れる創成川では、マガモが気持ちよさそうに水浴び中。
下水処理場が稼働する前の創成川は、汚染が進みドブ川のようになっていたそうですが、今ではそんな過去があったとは思えないほど澄んだ流れになっています。
1階:水環境を学ぶ
札幌市下水道科学館の1階エントランスは、吹き抜けと自然光が降り注ぐガラス張りの窓が開放的な空間となっています。
まるで川の上を歩いているような気分を味わえる、豊平川の流れを再現したグラフィックが床に投影されています。
このグラフィックには、足を踏み入れると水面に波紋が広がり鳥や魚が姿を現すという、楽しい仕掛けが隠されています。
多くの子供たちが、この仕掛けに夢中になって走り回っていました。
床に描かれた川の流れにかざすと、豊平川とその周辺に生息する生き物のイラストが表示されるタブレット。
それぞれの生き物について学べる図鑑機能も備えており、豊平川の自然の豊かさを楽しく知ることができます。
下水道の仕組みや役割を紹介する動画を20分ごとに上映するワイドビューシアター。
子供たちが駆け回るエントランスに比べ人影は少ないですが、その分ゆっくりと鑑賞することができそうです。
入口左手のキッズスペースは子どもたちが喜ぶ塗り絵の準備もあり、家族連れには一息つくのに最適な場所です。
また、入口右手側では小規模ながら興味深いパネル展示も行われていました。
2階:下水道の仕組みや役割を学ぶ
札幌市下水道科学館の2階は、下水道の仕組みや役割、各種設備の維持管理などについての展示となっています。
「下水道広報マスター」や「水質管理マスター」「下水道管清掃マスター」など、下水道処理の現場で働く11人の「マスター」を通じて、下水道への理解を多角的に深めることができます。
2階は楽しみながら学ぶことができる体験型の展示が充実しているのが特徴です。
特にゲーム形式の展示は、時おり順番待ちの列ができる人気ぶりでした。
テレビカメラ車を遠隔操作して、下水道管の中の破損個所を探し出して修理するシミュレーションゲーム。
挑戦してみたものの意外と難度が高く、ゲームはRPG専門の筆者にはなかなか難しく、ミッションクリアならず…
その大きさに驚く、実物大の下水道管です。
ひび割れたり油汚れがついた下水道管の写真を見ながら中を歩き、点検作業の疑似体験をすることができます。
下水の汚れを分解する様々な微生物を紹介するコーナー。
画面にルーペをかざして探すと微生物のイラストが見える仕組みになっており、楽しみながら学ぶことができそうです。
下水処理水の温度を実際に触って体感することができる展示です。
下水の汚れを分解する微生物は、温度が10℃以下になると働きが鈍くなるため、寒冷地である札幌で下水道処理場を稼働させるまでには、かなりの苦労があったそうです。
地下4階:雨水貯留管
雨水貯留管ポンプ施設の上部に位置する、札幌市下水道科学館。
地下4階では稼働中の雨水貯留管を見学することで、下水道が都市の洪水防止にどのように貢献しているのかを知ることができます。
しかし今回の訪問時、雨水貯留管は残念ながら公開を中止していました。
2階のモニターでライブ映像を見ることができましたが、次回訪れた際には、ぜひ実物を見学したいと思います。
生活水の行方を知る札幌市下水道科学館
札幌市の下水道普及率は、令和4(2022)年末時点で99.9%と、全国でも高い水準を誇っています。
札幌市下水道科学館は、そんな札幌市の下水道や水環境に関する知識を、様々な角度から学ぶことができる施設です。
体験型の展示が充実しており、子どもから大人まで楽しめる仕掛けが満載です。
また、使用後の水道水の行方を紹介する下水道科学館は、以前ご紹介した札幌市水道記念館と対となる施設といえます。
2館を合わせて訪れることで、水資源についての理解をより深めることができるでしょう。
札幌市下水道科学館を訪れて、普段何気なく利用している下水道について考えてみてはいかがでしょうか?
アクセスと開館時間
アクセス;札幌市営地下鉄南北線「麻生」駅より徒歩15分、JR新琴似駅から徒歩15分、北海道中央バス「下水道科学館前」「北営業所」停留所から徒歩5分
開館時間;9:30 ~ 17:00(入館は16:30まで)
休館日;月曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始 ※6月~8月は無休、その他臨時の休館日あり
入館料;無料
公式HP;札幌市下水道科学館公式サイト
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参考文献
「さっぽろ文庫24 札幌の水」(札幌市教育委員会 編/1983年)
札幌市の下水道(札幌市公式HP)