さっぽろ雪まつりの沿革
2024年のさっぽろ雪まつりは2月4日(日)~2月11日(日)にかけて行われている。さっぽろ雪まつりは通例7日間の会期となっているが、今年は昨年同様に、1日多い8日間の日程となっていて、気軽にぶらりとアクセスできる地元民としては、ちょっと得したような気分である。
さっぽろ雪まつりは1950年に札幌市内の中高生達が、大通公園に6つの雪像を造って楽しんでいたことが始まりと言われている。その5年後にはすでに自衛隊による大雪像が出現し、以降は回を重ねるごとに盛り上がりをみせ、今や札幌を代表する国際的イベントとなった。
2021年~2022年にかけては新型コロナ感染拡大防止のために、雪像をWeb配信するだけのバーチャル雪まつりとなってしまったが、昨年の2023年には会場でのリアル雪まつりが復活し、さらに今年は久々にフルスケールでの祭典となったことは、札幌市民として嬉しい限り。
第74回さっぽろ雪まつりの主な出展作品
大通会場
1丁目会場 カーリングフェスティバル
1丁目のJ:COMひろばでは「カーリングフェスティバルinさっぽろ雪まつり」が開催されていて、多くの家族連れが、会場スタッフの案内に従い、特設リンクの上でカーリングストーンを滑らせていた。公式サイトによると、最終の土日にはカーリングチームも来場するらしい。
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2丁目会場 札幌国際芸術祭2024
2丁目は札幌国際芸術祭の特設会場となっている。札幌国際芸術祭は1月20日(土)~2月25日(日)の期間中に、道立近代美術館や札幌芸術の森、札幌市資料館などで開催される(会期は会場ごとに異なる)。写真はエアシップ・オーケストラという作品。
3丁目会場 市民の広場(その1)
3丁目は市民雪像が展示されている。公式サイトによると、市民雪像は3丁目と9丁目を合わせて78基も制作される予定なのだそう。世相を反映したオリジナリティあふれる力作がズラリと並び、多くの来場者の目を愉しませている。
札幌市を拠点とする北海道コンサドーレFCのマスコットキャラクターのドーレ君。カーリングに挑戦している姿をユーモラスに表現した。
北海道旭川市出身の芸人、とにかく明るい安村とX(旧Twitter)のおぱんちゅうさぎ。昨年、安村さんは英国のバラエティ番組でブレイクを果たす。
関西からの旅行客と思われる若い女性のグループが「びりけんさんおるわぁ~。足裏のくぼみまでようできとるなぁ~。」と歓喜の声をあげていた。
米国の大リーグを席巻中の大谷翔平選手は、かつて北海道日本ハムファイターズでもプレイしたことも。新天地ドジャーズでの活躍にも期待したい。
作品名は「未来への架け橋」。モアイが雪でシンフォニーを奏でる様子を表現したアーティスティックな作品。モアイの二重奏?凡人にはやや難解。
長野県で出土した縄文時代の土偶で、作品名は「縄文のビーナス」。ちなみに自然豊かな北海道には弥生時代は到来せず、縄文時代が長く続いた。
作品名は「腸を大切に!」。たしか昨年は「肺を大切に!」という作品が出展されていたような。整腸には発酵食品と食物繊維の日々の摂取が有効。
アニメの実写化で大いに盛り上がっているゴールデンカムイ。今年の雪像のモチーフとしても大人気で、雪像数ではシマエナガといい勝負だった。
日本のお城も雪まつりではおなじみのモチーフとなっている。デフォルメされつつ、細かいディティールまできちんと作り込まれた作品。
4丁目会場 ウポポイ×ゴールデンカムイ
4丁目のSTV広場では、人気のゴールデンカムイとアイヌ民族共生象徴空間ウポポイがコラボレーションした大雪像が迫力満点だった。この大雪像を制作したのはおなじみ雪像マイスター集団の陸上自衛隊第11旅団の特科隊、高射特科隊、偵察隊のみなさん。
5丁目会場 栄光を目指し駆けるサラブレッド
5丁目の道新雪の広場では、昨年に引き続きサラブレッドをテーマにした巨大な雪のレリーフがお目見えした。札幌競馬場をバックに勝利へ向けて疾走するレースの迫力が伝わってくる。ステージ上には道新のマナブンをはじめ、道内各地のご当地キャラも駆けつけた。
6丁目会場 本郷新記念札幌彫刻美術館
恒例となった本郷新記念札幌彫刻美術館からの出展。同美術館は札幌市出身の彫刻家である本郷新の遺志を継いで、札幌市中央区宮の森にあった同氏のアトリエを美術館に改装したもの。写真の作品は札幌の美術家の手による「舞」。北国で暮らす人達の逞しさと情熱を表現。
作品名「個性」。周囲とズレたり明暗ができたり、きちんと揃っていないことが自然なことではないか?などと考えつつ制作したそう。
作品名「ふる」。ふるは降るのことで、雨や雪が大地に降り、川から海へと注ぐ課程における、多くの生物同士の生命のつながりを表した。
作品名「約束」。人との出会い、別れ、再会など、全ての巡り合わせを見守る存在を、緊張と優しさを意識しつつ具現化してみたとのこと。
作品名「雪稜の構成」。無色透明な雪の結晶が、光の反射や屈折によって白く見える雪そのものの美しさを、デザインで表現したという。
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7丁目会場 ノイシュバンシュタイン城
7丁目のHBCドイツ広場では、ドイツ観光局日本支局の開局50周年を記念して、ドイツバイエルン州のノイシュバンシュタイン城をモチーフに大雪像を制作。ノイシュバンシュタイン城は別名「白鳥城」で知られ、音楽家ワーグナーを庇護したルートヴィヒ2世の居城でもあった。
7丁目会場ではアニメキャラクターの雪像も多数展示されている。こちらはガンダムFREEDOM。ガンダムもオリジンから半世紀近く続く長寿アニメ。
呪術廻戦より。五条悟と虎杖悠仁の雪像レリーフ。正直なところストーリーは知らないが、呪術高専の教師と生徒という設定がユニーク。
サラリーマン諸氏ならきっと誰もがお世話になったことがあるはず。太田胃散のマスコットキャラの太田胃にゃん。氷像も同時出展している。
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8丁目会場 旧札幌停車場
旧札幌停車場は現在のJR札幌駅の前身で、1908年に竣工し、1952年まで北海道の交通の拠点として利用されていた。ルネサンス様式で建築された延床面積2,765㎡の大きな駅舎は、当時は最先端のモダンな建造物だった。現在、JR札幌駅は新幹線乗り入れのため拡張工事中。
旧札幌停車場は厚別区にある野外博物館開拓の村のエントランス施設として再現されている。西洋風の端正な意匠がいかにも札幌ノスタルジー。
9丁目会場 市民の広場(その2)
9丁目の市民の広場(その2)では、再び市民の制作による雪像がずらりと展示されている。こちらは世界的に有名な任天堂のゲームキャラクター。道行く外国人観光客が口を揃えて「マリオー!」と連呼していて、国際的な知名度の高さがうかがえる。
「ジャイアンリサイタルへようこそ!」と題された、オンチのジャイアンの歌声に失神寸前のドラえもんとのび太。現代ならさしづめカラハラか…。
「東北の一本松を応援するピカチュウ」の一本松は、2011年の東日本大震災の津波に耐えた奇跡の一本松。復興に向かう人々の心の支えとなった。
キン肉マンはかつて少年ジャンプに掲載されていた人気漫画で、テレビアニメ化もされて人気を博した。そんなキン肉マンも今年45周年を迎える。
2023年2月に亡くなった松本零士さんを追悼して「ありがとう銀河鉄道999」と題された雪像も登場。車掌さんも敬礼のポーズで哀悼の誠を捧げる。
今年はゴールデンカムイの雪像が多いが、こちらは実写版の俳優さんを題材にして制作されたようだ。タイトルは「不屈の男深井&不死身の杉元」。
「ちびちび」という名の雪像で、左がうさまる、右がうさこなのだそう。小さなお子さんに喜ばれそうな、とてもわかりやすいデザイン。
北海道にしか生息しない雪の妖精、シマエナガも根強い人気を誇る。キャラクター商品もたくさん発売されていて、年齢層を問わず愛されている。
「いい湯だな」というタイトルの不思議な雪像。北海道に生息する海洋生物が温泉につかっているほっこりした様子を表現した力作。
NASVA(自動車事故対策機構)のマスコットキャラクターのナスバちゃん。NASVAは安全運転の啓発や自動車事故の被害者援護を行う機関。
10丁目会場 北海道ボールパークFビレッジ
10丁目のUHBファミリーランドでは、2023年3月に開業した北広島市のエスコンフィールド北海道と、北海道日本ハムファイターズの新庄監督の雪像レリーフ。球団の転出を招いて赤字にあえぐ札幌ドームを尻目に、こちらの新球場はすでに来場300万人と大盛況。
11丁目会場 国際広場
11丁目では世界各国の雪像制作チームによる、国際雪像コンクールが開催されていた。実はこのコンクール、すでに48回を数え、半世紀近くにわたって連綿と続いている。今年は韓国、インドネシア、ポーランド、アメリカ、シンガポール、タイなど9カ国が参加している。
一生懸命、雪像づくりに励む海外からの参加チーム。きっと最終日には立派な雪像が仕上がっているはず。足元に気をつけて頑張ってね。
初音ミクはいまや札幌出身の有名人としてウィキペディアに掲載されるほどの人気ぶり。2010年以来、雪ミク雪像の出展は15回連続なのだそう。
ハローキティ50周年を記念して、おなじみキティちゃんも登場。私の前に立っていた見知らぬ女性が「キティちゃんも50歳か…。」とつぶやいていた。
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すすきの会場
すすきの会場では、すすきのアイスワールド2024と題して、精緻な氷像彫刻が60基ほど展示されている。写真はすっかり恒例となった感のある、すしざんまいすすきの店からの、氷漬けされた魚介類の大きなレリーフ。毎年たくさんの人だかりができることでも有名。
こちらは民族共生象徴空間ウポポイのブース。ウポポイは白老町にある国立アイヌ民族博物館や慰霊施設など、アイヌ文化復興の拠点である。
こちらはボートレース振興会からの出展。中央のキャラクターは同振興会のマスコットで、通称クマホンというらしい。
やはりシマエナガはすすきの会場でも人気がある。大通会場のファニーな雪像とは趣向がうって変わり、かなりリアルに作り込まれている。
おなじみすすきの歓楽街の飲食店共催によるNIKKA宝船。私も濃厚な甘さとピートのほろ苦さが絶妙なニッカブラック・スペシャルの大ファンである。
太田胃散は大通公園の7丁目会場の雪像とあわせてすすきの会場にも出展する気合の入りよう。すすきのを堪能した翌朝は太田胃散で胃腸のケア。
第74回さっぽろ雪まつりのまとめ
2024年は久々のフルスケールでの開催ということもあり、さっぽろテレビ塔の真下から、札幌市資料館手前の11丁目まで、たくさんの雪像や氷像がズラリと展示されていて、これぞ国際フェスティバル!といった見どころ満点のボリュームだった。
また海外からの観光客もたくさん来場していて、特にアニメ系と本郷新記念札幌彫刻美術館の作品が人気だったように感じる。他にもまだまだ見どころ満載のさっぽろ雪まつり2024。会期は残すところあと2日となったので、ご覧になっていない方はぜひお見逃しなく。
さっぽろ雪まつり会場へのアクセス
<大通会場>
・東側;地下鉄東西線大通駅
・西側;地下鉄東西線西11丁目駅、札幌市電中央区役所前停留場から徒歩5分
<すすきの会場>
・北側;地下鉄南北線すすきの駅から徒歩1分、札幌市電すすきの停留場から徒歩1分
・南側;地下鉄南北線中島公園駅から徒歩5分
ホームページ;2024年さっぽろ雪まつり公式サイト
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