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大倉山スキージャンプ場(札幌市南区)

2023年3月8日

札幌のウインタースポーツ振興のシンボル

国際規格のラージヒル・スキージャンプ場

大倉山ジャンプ競技場の全景
大倉山ジャンプ競技場と隣接するミュージアムアネックス

大倉山ジャンプ競技場は札幌市中央区にある国際規格のラージヒル・スキージャンプ競技場である。1972年の札幌オリンピックや宮様スキー大会など数多くの名勝負の舞台となり、ミドル世代以上の札幌市民にとっては大倉山シャンツェといった方が馴染みがあるかもしれない。

大倉山ジャンプ競技場の全長は368.1m、標高差は133.6m、ブレーキングトラックは100mもある。およそ5万人を収容できる観客席も設けられていて世界5大ジャンプ競技場のひとつとなっている。展望台からは札幌の街並みを一望することができ人気の観光スポットでもある。

伝統ある宮様スキー大会

大倉山ジャンプ競技場で行われていた宮様スキー大会の様子
第92回宮様スキー大会は好天に恵まれ多くの観客で賑わっていた

写真は2021年3月7日に開催された第92回宮様スキー大会の時の様子。宮様スキー大会の正式な名称は「宮様スキー大会国際競技会」といい、昭和3年(1928年)の秩父宮殿下と翌年の高松宮殿下のご来札を記念して昭和5年(1930年)に荒井山周辺で第1~2回大会が開催された。

宮様スキー大会は国際スキー連盟(FIS)公認であり、クロスカントリー、ジャンプ、アルペン、ノルディック複合、フリースタイル、バイアスロンの6種目で行われる。参加選手達にとってワールドカップやオリンピックなどの出場権を獲得するための重要な大会となっている。

レジェンド葛西紀明選手

滑空後に取材陣からインタビューを受ける”レジェンド”こと葛西紀明選手。風向きがイマイチで飛距離が伸びなかったと悔しがっていた。

敷地内の札幌オリンピックミュージアムでは冬季オリンピックで活躍した北海道ゆかりのアスリート達にまつわる貴重な展示を見学できる。

札幌オリンピックミュージアムの外観

大倉山スキージャンプ場の沿革

夏の大倉山ジャンプ競技場
夏の大倉山スキージャンプ競技場

初期の大倉山スキージャンプ場は昭和初期に札幌に冬季オリンピックを誘致すべく、秩父宮殿下と北海道大学スキー部の部長だった大野精七博士そして大倉土木(現在の大成建設)の大倉喜七郎氏らによって昭和6年(1931年)に建設された国内初の60m級のシャンツェだった。

もともとこの場所は官幣大社札幌神社(現在の北海道神宮)が所有する名も無い高地だったが、大倉喜七郎氏がジャンプ競技場の建設費用を負担し、竣工後に札幌市に寄付したことからこの高地を大倉山、ジャンプ台を大倉山シャンツェ(ジャンプ競技場)と呼ぶことになる。

荒井山シャンツェ

スキージャンプ黎明期に本格的なシャンツェ建設に尽力したのがノルウェーから招聘されたヘルセット中尉。第1~2回宮様大会が開催された荒井山シャンツェ建設も同氏の提案による。

大倉山ジャンプ競技場を挟んで荒井山の反対側にあるのが宮の森シャンツェ。1972年の札幌オリンピック開催のために建設された国際規格のノーマルヒル・スキージャンプ場である。

宮の森シャンツェ

展望台に上ってみる

リフトに乗って展望台へ向かう

大倉山ジャンプ競技場のリフト乗り場

我々も大倉山ジャンプ場の展望台へのぼってみることにする。ちなみにこの日は平日でジャンプ競技も行われていなかったため、ほぼ我々2人の貸切状態。チケット販売所でリフト券を購入してからリフト乗り場へと向かう。

大倉山ジャンプ競技場のチケット売り場

札幌オリンピックミュージアム内のチケット販売所。往復で大人1,000円、子供(小学生以下)500円。札幌市民には市民割引が適用され、それぞれ1,000円と300円となる。※取材時の価格

大倉山ジャンプ競技場のリフトに乗る

スキー場のリフトなんて学生の時以来なので果たして上手に乗ることができるか心配していたが、そこはやはり札幌育ち。ゴンドラがやってくると自然に片手が伸びてポールをホールドし、身体を前にかがめつつ素早く乗り込む。

大倉山ジャンプ競技場の展望台から見下ろす

5分ほどで頂上に到着。リフト降り場を振り返るとかなりの急勾配を上ってきたことがわかる。幼少期から札幌圏の山々でゲレンデスキーに慣れ親しんできた筆者とはいえ、さずがにこれほどキツイ傾斜のリフトは初めて。

頂上からジャンプ台をのぞいてみる

大倉山ジャンプ競技場のジャンプ台

ジャンプ台のスタートラインから眼下を望む。高所恐怖症の筆者はすっかり足がすくんでしまった。ここからおよそ90km/hまで加速して踏切台から飛び出し、120~130mの距離を飛翔して距離を競う異次元の競技。着地後のブレーキングトラックは国際的にも長いもの。

大倉山ジャンプ競技場のジャンプ台の踏切ポイント

これが踏切台。まるで航空母艦のカタパルト。ジャンプ選手がコーチと組になって踏切の練習をしていた動画を見たことがあるが、踏切のタイミングもジャンプの成否を大きく左右する。

展望台からの眺め

大倉山ジャンプ競技場の展望台から見た札幌市全景

展望台から見た札幌市の全景。標高は藻岩山より低いが市内の様子が間近に見えてかえって迫力がある。この日は晴天に恵まれて本当にラッキーだった。

大倉山ジャンプ競技場の展望ラウンジ

展望台にはシックでお洒落なラウンジがあって望遠鏡も完備。先に2~3組の観光客が来館していたが、ゆっくりと札幌の眺望を堪能できた。

さっぽろテレビ塔と大通公園

東方向に中央区の大通公園とさっぽろテレビ塔が見える。この時はすでにさっぽろ雪まつりも終わっていて、大通公園はすっかり日常の見慣れた風景を取り戻していた。ちなみに大通公園右側の道路を西へ進むと円山公園につきあたる。

JRタワー

北東に視線をずらすとJRタワーが見える。これまで旭山記念公園、円山、さっぽろテレビ塔、藻岩山展望台を訪れ、今回やっと大倉山展望台に来ることができた。残る眺望スポットはJRタワーと羊ケ丘展望台。

札幌ドームと北海道ボールパーク

写真右側は色々と話題になった豊平区の札幌ドーム。そして左上に見える大きな三角屋根は今春の開業を控える北広島市の北海道ボールパークFビレッジ。狙ったわけではないが、なんとも皮肉なショット。

野幌にある百年記念塔

視点を変えて南東に目をやる。画面右上に小さく写っている黒い塔に注目。これは厚別区の野幌森林公園にある百年記念塔。老朽化によって維持が困難となり今春から解体工事が始まることになっている。

北海道博物館の裏庭から撮影した在りし日の北海道百年記念塔。この塔は北海道開道100周年を記念して1970年に竣工された地上100mの鉄塔で、長らく野幌近隣のランドマークとなっていた。

モエレ沼公園

こちらは東区のモエレ沼公園。大地の彫刻家として世界的に知られるイサムノグチ氏の設計した丘陵が雪に覆われている。手前の広い空き地は敷地面積日本一を誇る北海道大学の敷地。農学部や工学部、医学部などの建物も見える。

西区の琴似エリア

手前に視線を移動。まずは弊社のある西区琴似エリアから。琴似は最初に屯田兵が入植した地であり、ここから北海道開拓の歴史が始まったといっても過言ではない。現在は人口21万人の西区の中心地であり市内有数の繁華街でもある。

円山と円山動物園

こちらは円山。明治政府から北海道開拓の総責任者に任命された島義勇判官は円山に登って周辺を見渡しながらまちづくりの青写真を描いたと言われている。円山には30分程度で八十八か所巡りができる登山ルートや円山動物園もある。

藻岩山麓の平和の塔

南南東には藻岩山の平和の塔(仏舎利塔)が見える。ここは近年ヒグマの出没が多発しているが、大倉山もこの一帯と原生林でつながっているため興味本位で大倉山ジャンプ競技場の敷地外には出ることはやめた方がいい。

大倉山ジャンプ競技場のリフト

ジャンプして戻るわけにもゆかないので帰りは下りのゴンドラに乗る。札幌育ちの筆者にとってリフトでスロープ下まで降りてくるのは少し不思議な感覚。写真左の山間に小さく見える茂みは宮の森緑地。

大倉山ジャンプ競技場の審判塔

これは審判塔で、この中にいる審判員がジャンプの採点を行っている。山の斜面に密着して建築されたこの建物の構造に興味津々。

大倉山ジャンプ競技場のアネックスと札幌オリンピックミュージアム

無事に下界に帰還できた。展望台を楽しんだ後は左側のアネックス館でランチを頂くもよし、右側の札幌オリンピックミュージアムを見学するもよし。大倉山を宮の森方面へ下ると本郷新記念札幌彫刻美術館もあって見事な現代彫刻を鑑賞できる。

大倉山ジャンプ競技場のゆきかた

営業時間とアクセス

夏の夜の大倉山ジャンプ競技場

夏期(7月~9月)は展望台リフトの営業時間が延長されるので札幌の夜景を鑑賞するのもオススメ。ほぼ一年中ライトアップされているジャンプ台は地下鉄円山駅や西28丁目駅からもよく見え、周辺地区のランドマークになっている。

大倉山ジャンプ競技場へ向かうエレベーター

バス停留所からエレベーターで大倉山ジャンプ競技場の施設へ向かう。片面がガラス張りなのでエレベーターの内からも市内を眺めることができる。

<展望台リフト>
営業時間
・夏期;8時30分~18時(7月~9月は21時まで)
・冬期;9時~17時
電話番号;011-641-8585
アクセス;地下鉄東西線円山駅から直行シャトルバス乗車し10分
ホームページ;札幌大倉山スキージャンプ場公式サイト

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参考文献
・さっぽろ文庫16 冬のスポーツ
・さっぽろ文庫96 大倉山物語

  • この記事を書いた人

山口光博

札幌育ちの人事コンサル。リテール業界に詳しく学生バイト時代を含めるとコンビニ、食品スーパー、総合スーパー、問屋&物流センターなど、流通チャネルに関わるほとんどの職場を経験。地元とスープカレーをこよなく愛す。

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