札幌市を一望できる最高の眺望スポット
さっぽろ藻岩山ロープウェイについて
藻岩山展望台は札幌市の眺望スポットではもっとも高所にあり、石狩湾やはるか遠くの道央の山々まで見渡せる眺望は市内の展望台の中でも指折りの素晴らしさである。藻岩山展望台からの夜景は夜景観光コンベンションビューローによって日本三大夜景にも選出された。
藻岩山とくればロープウェイと応える札幌市民は多い。そんな札幌もいわ山ロープウェイは株式会社札幌振興公社が運営しており、毎日たくさんの観光客を藻岩山の展望台まで運んでいる。なお大倉山のジャンプ場や札幌オリンピックミュージアムも同社の運営である。
藻岩山について
藻岩山(もいわやま)は札幌市の南西に位置する標高531メートルの山で、今からおよそ200万年以上前に火山の噴火によってできた山である。現在の藻岩山にはすでに火山活動を終えているが地質には溶岩や安山岩が多く表土が薄いといった火山特有の特徴がみられる。
藻岩山は温帯にある同規模の山と比較すると植生する樹木が多彩であり、その美しさから大正10年に藻岩山北東斜面の森林が国の天然記念物に指定された。この森林には散策路があって一般の人でも気軽にハイキングを楽しむことができる。
藻岩山の周辺スポット
平和の塔(仏舎利塔)
麓から藻岩山を見上げると白い仏舎利塔が見える。これは平和の塔と呼ばれる太平洋戦争の戦没者の慰霊碑である。
建立したのは日達上人(にったつしょうにん)という日蓮正宗の第66世法主だった高僧で、生前にマハトマ・ガンディーと親交があったことから平和の塔を建立する際にインドのネール首相からブッダの骨を分骨してもらい塔に奉納したという逸話が残っている。
藻岩登山道
藻岩山には札幌藻岩山スキー場や旭山記念公園へ抜ける5つの登山道が開設されており、所要時間はそれぞれ片道で1時間程度である。登山経験がなくても気軽に通行できる万人向けのルートだが登山道周辺は市内有数のヒグマ出没スポットなので充分に注意する必要がある。
札幌藻岩山スキー場
札幌藻岩スキー場は初心者から上級者まで楽しめる全10コースが整備されていて、手稲山(ていねやま)や盤渓山(ばんけいやま)と並ぶ人気のスキーゲレンデとなっている。上級者向けのうさぎ平コースにまつわる小説は小学校の教科書の題材となったこともある。
路面電車の車庫
藻岩山のふもとには市電の電車事業所がある。建物は旧札幌市交通局を利用したものであり、現在は路面電車の車庫および毎日の運行の始発駅や終着駅となっている。体力に自信のある人なら建物裏の通称「へび階段」からロープウェイの山麓駅へショートカットできる。
こちらが「へび階段」を昇りきったところ。全252段の長く急勾配なストレート階段は、鉄骨に金網を溶接しただけの簡素な作り。ミシミシと軋むようなことはなかったが、ご来訪の折は足元に注意しつつ、慎重に昇降されたい。
ロープウェイで山頂まで登る
山麓駅
山頂までのルートは①登山道のみ、②ロープウェイで中腹駅まで行ってから登山道を歩く、③ロープウェイからミニケーブルカーへ乗り継ぐ、の3パターン。今回は③の方法で山頂まで行くので山麓駅でロープウェイとミニケーブルカーのセット料金でチケットを購入する。
市電ロープウェイ入口停留場で下車し、無料のシャトルバスに乗りかえると山麓駅に到着する。
ロープウェイは15分間隔で運行しており、乗車から5分ほどで中腹駅に到着する。秋晴れの澄んだ空の下、札幌市のはるか遠くまで見渡せる眺望は最高に気分がよい。なお強風の時は運行中止もあるので事前に天気予報を確認しておきたい。
ブッダの分骨が収められているという平和の塔(仏舎利塔)も間近に眺めることができる。
山麓駅付近の喫茶店は日本の遺伝学者だった故小熊博士の元邸宅で設計は本郷新記念美術館を手掛けた建築家の田上義也氏。
中腹駅
中腹駅でミニケーブルカーに乗り換える。ミニケーブルカーも15分間隔で発着している。ただしロープウェイより早く終業するので時間に余裕をもって行動したいところ。登山道からも下山できるが夕暮れ時以降はヒグマに遭遇する危険があるのでお勧めしない。
中腹駅には大きなお土産屋さんがある。白い恋人、じゃがポックル、白いブラックサンダーなどの札幌土産の定番が並ぶ。
中腹駅そばの藻岩山神社。藻岩山神社はスキー客の無事故を祈願して1987年に建立された札幌伏見稲荷神社の末社である。
ミニケーブルカーが発車した。当日は最前列のシートに乗車できたので視界良好。およそ2分であっという間に山頂駅に到着。
山頂駅
藻岩山の山頂駅に到着した。札幌市内の眺望スポットNo1の標高を誇るだけあって絶景の一言に尽きる。都心部から市電→無料バス→ロープウェイ→ミニケーブルカーを乗り継いでも1時間半もあれば山頂までたどり着けるので来札の折にはぜひ展望台の絶景をご堪能頂きたい。
写真左下の小さな山は円山。藻岩山のモイワとはアイヌ語で小さな山を意味する。つまりモイワとは実は円山のことを指していたのだった。
藻岩山はインカルシベ(物見山)という名があったが北海道開拓使がモイワを円山と命名してしまいインカルシべの方が藻岩山となった。
山頂駅の3階には本格的なフレンチレストランが営業している。藻岩山から札幌の夜景を鑑賞しつつモイワ・キュイジーヌを味わうもよし。
藻岩観音奥之院
山頂駅付近に藻岩観音奥之院という小さなお堂が建っている。これは山麓にある観音寺の別院であり、このお堂に観音像を祀るために造られた山道が藻岩登山道のはじまりだったという話は札幌市民の間でもあまり知られていない。
明治18年に新善光寺の大谷上人が藻岩山に観音像を祀るために登山道を開削した。そして二代目住職の林上人が山麓に観音堂を、山頂には石堂を建立し、これを中田松念という尼僧が引き継いで観音堂を現在の観音寺に、石堂を奥之院に改築して現在に至る。
浄土宗藻緑山観音寺は中央区旭が丘5丁目にあり、新善光寺の林上人が建立したとされる観音堂も残っている。
浄土宗新善光寺は中央区南6場西1丁目にあり、Webサイトでの情報発信にも積極的。新善光寺ドット・コム
札幌もいわ山ロープウェイのまとめ
山開きイベント
明治19年6月1日に大谷上人が山開きの大祭を開催したことから毎年6月1日が藻岩山の山開きの日とされている。そして前日の5月31日を藻岩山の標高531メートルにちなんで藻岩山の日とし、様々な観光イベントが行われている。もし機会があればぜひ見物してみたい。